【特許紹介】データコードの複写による偽造を安価に防止する特許発明(デンソー)を紹介

 今回は、偽造防止に関する特許発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、商品券などを複写して偽造するのを安価に防止する方法が求められています。

 この発明では、データコードと図形とを印刷した印刷媒体によって、複写機での複写による容易な偽造を安価に防止することができます。



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 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

商品券などを複写して偽造するのを安価に防止する方法が必要

 複写機(コピー機)の性能が向上したため、複写機で契約書や商品券などが複写された場合に、本物(真正品)と複写物(偽造品)とを区別することが難しくなっています。

 真正品と偽造品とを区別するために特殊なインクで印刷するなどの工夫をすることもありますが、低額の商品券などにこのような工夫を入れることは現実的には難しいです。

 そこで、複写機での複写による容易な偽造を防止する、安価に実現できる方法が求められています。

データコードの2色と異なる明るさの図形を重ねて印刷


 この発明では、データコードと図形とを印刷した印刷媒体によって、複写機での複写による容易な偽造を安価に防止することができます。

 この印刷媒体に、データコードと図形とが重なるように印刷されています。

 データコードは、明るさが異なる2つの色で表現されています。例えば、データコードは、白と黒の2色で表現されています。

 また、図形は、データコードの2つの色とは、明るさが異なる色で表現されています。例えば、データコードが白と黒の2色の場合、図形は灰色で表現されています。

 このように印刷された印刷媒体を複写すると、データコードの2色と、図形の色との明るさの関係が真正品と同じかどうかによって、真正品と偽造品とを区別することができます。また、色を変えて印刷するだけなので安価に実現できるメリットもあります。

 特許第3843595号 株式会社デンソー
 出願日:1998年4月8日 登録日:2006年8月25日

【課題】
複写機での複写による容易な偽造を防止すると共に、そのための光学的情報の印刷も通常の技術かつ安価に実行できる光学的情報印刷媒体、それを読み取るための光学的情報読取装置、情報処理装置の提供を目的とする。
【請求項1】
 光学的に読取可能なデータコード及び図形を、前記図形の一部又は全部に前記データコードが重なるように印刷してなる光学的情報印刷媒体であって、
 前記データコードはセルの分布パターンにより情報を表現する2 次元コードであり、
 前記データコードは明るさが異なる2つの色で表現されており、前記図形はデータコードで使用されている色の明るさとは異なる明るさの色で印刷されていることを特徴とする光学的情報印刷媒体。

今日のみどころ

 QRコードに関連して、データコードと異なる色の図形をデータコードと重ねて印刷することで偽造品を区別する発明です。この発明では、データコードがQRコードである場合が例として説明されていますが、データコードがQRコードでなくても適用できると考えられます。

 たしかに、低額(例えば500円とか)の商品券に、紙幣に使われているような高度な偽造防止の技術を適用することはないものの、何らかの偽造防止の工夫を入れる必要がはあるのも事実ですので、有用だと思います。

 2色で表されるデータコードの特徴を上手に使った発明です。