【特許紹介】QRコードの読み取り精度を上げる特許発明(デンソー)を紹介/補助シンボルを使って読み取り精度を向上

 今回は、QRコードの特許発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、2次元コードに歪みがあると読み取り精度が低下する問題があります。

 この発明では、位置決め用シンボルと補助シンボルを使って2次元コードのデータセルを読み取ります。これにより、補助シンボルを効果的に用いて2次元コードを読み取ることができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

2次元コードに歪みがあると読み取り精度が低下する問題

 従来、2次元コードが利用されています。2次元コードは、バーコードと比較して大量の情報を記録できる利点があります。一方、2次元コードは、構造が複雑であり、読み取りに工夫が必要です。

 2次元コードの読み取りの際に、撮影した画像内での2次元コードの位置や方向を決めるために、位置決め用シンボルが配置されています。

 しかし、2次元コードを斜めから撮影した場合や、2次元コードが曲面上に付けられている場合には、画像内での2次元コードが歪んでしまい、2次元コードから情報を正しく読み取ることができないという問題があります。

位置決め用シンボルと補助シンボルを使ってデータセルを読み取り


 この発明は2次元コードの読み取り方法に関する発明です。2次元コードには、位置決め用シンボルとともに補助シンボルが設けられています。

 位置決め用シンボルは、1セル幅の黒い正方形の中に、1セル幅の白い正方形があり、その白い正方形の中に3セル×3セルの黒い正方形がある図形になっています。どんな角度の線で読み取っても、周波数成分比が暗:明:暗:明:暗=1:1:3:1:1になるようになっています。

 補助シンボルは、1セル幅の黒い正方形の中に、1セル幅の白い正方形があり、その白い正方形の中に黒い1セルがある図形になっています。

 そして、2次元コードを読み取るときには、位置決め用シンボルと補助シンボルとのパターンに基づいて補助シンボルの位置を検出し、その補助シンボルと位置決め用シンボルとともに使って、データセルのデータを読み取ります。

 これにより、位置決め用シンボルだけでは正しく2次元コードを読み取れない場合にも、補助シンボルを効果的に用いて2次元コードを読み取ることができます。

 特許第3716527号 株式会社デンソー
 出願日:1997年1月28日 登録日:2005年9月9日

【課題】
歪みがあっても正しく情報を読み取ることができる2次元コードの読取方法を提供する。
【請求項1】
 セルの分布パターンにより情報を表現するデータセルと、
 矩形形状の2次元コードの4つの頂点の内の3つにそれぞれ配置され、2次元コードの位置を特定するために、自身のパターンに基づいて最初に位置検出される位置決め用シンボルと、
 2次元コード内を該2次元コードの縦横の辺に沿った境界にて区画した複数の矩形領域の内、前記位置決め用シンボルが存在しない矩形領域に各1つ配置され、前記位置決め用シンボルの位置と自身のパターンとに基づいて位置検出される補助シンボルと、
 を備え、
 前記位置決め用シンボルが、1セル幅の黒部からなる枠状正方形内の中心部分に、1セル幅の白部からなる縮小した枠状正方形が形成され、その内側の中心部分に黒部からなる3セル×3セルの大きさの正方形が形成されているパターンのセルの明暗配置からなっており、
 前記補助シンボルが、1セル幅の黒部からなる枠状正方形内の中心部分に、1セル幅の白部からなる縮小した枠状正方形が形成され、その内側の中心部分に1セルの黒部からなる正方形が形成されているパターンのセルの明暗配置からなっている、
 2次元コードを読み取る2次元コード読取装置において前記2次元コードを読み取るための読取方法であって、
 前記2次元コードの画像を得るとともに、前記画像中での前記位置決め用シンボルの位置を検出する2次元コード位置決め処理を行い、
 次に、前記位置決め用シンボルの位置と前記補助シンボルのパターンとに基づいて、前記画像中での前記補助シンボルの位置を検出する補助シンボル位置決め処理を行い、
 次に、前記位置決め用シンボルまたは補助シンボルが配置されている各矩形領域内に存在するデータセルの位置を、該矩形領域内に配置されている位置決め用シンボルまたは補助シンボルの位置及びその形状から求められたセルの形状およびセルの配列方向に応じて検出するセル位置決め処理を行い、
 次に、前記位置が検出されたデータセルに基づいて、2次元コードの情報を読み取るデコード処理を行うことを特徴とする2次元コードの読取方法。

今日のみどころ

 QRコードの特許で、位置決めの精度を向上させる発明です。

 四隅のうちの3つに配置されている位置決め用シンボルのほかに、位置決め用シンボルが配置されていない領域に配置されている補助シンボルを使って、データセルの位置決めの精度を向上することができます。

 位置決め用シンボルを補強する役割をもった補助シンボルについてもしっかり特許で保護されていてすばらしいですね。