【特許紹介】QRコードの読取装置の特許発明(デンソー)を紹介/どんな角度でも精度よく情報を読み取れる二次元コード

 今回は、QRコード(二次元バーコード)に関する基本的な発明(1998年登録)を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、二次元コードの読み取りに高度な処理や長い時間が必要であるという問題があります。

 この発明では、走査信号から周波数成分比の信号を読み取って、二次元コードの位置決め用の図形を検出します。これにより、どのような角度で読み取っても、精度よく情報を読み取っていくことができます。



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二次元コードの読み取りに複雑な処理や長い時間が必要であるという問題

 従来、二次元コードから情報を読み取るには、複雑な処理が必要であり、高性能なCPUが使われていました。

 二次元コード自体に高速な読み取りができるような工夫がなされておらず、また、回転しても読み取られるような工夫もされていませんでした。そのため、例えばコード全体を読み取った後で高性能なCPUによる処理を行うことが必要でした。

 このように、従来の二次元コードは、情報の読み取りに高度な処理や長い時間が必要であるという問題がありました。

走査信号から周波数成分比の信号を読み取って、二次元コードの位置決め用の図形を検出


 この発明の二次元コードの読み取り装置は、二進コード(白または黒のコード)がマトリクス状に配置された二次元コードを読み取ります。

 この二次元コードは、マトリクスの2カ所以上の位置に、位置決め用の図形が配置されています。この図形は、どんな角度で横切る線で読み取っても、同じ周波数成分比が得られるような図形です。

 読み取り装置は、二次元コードを含む画像を検出し、その画像を走査(スキャン)した信号に、決められた周波数成分比の信号を検出します。

 その周波数成分比が検出されたら、その画像のなかでのその信号の位置を検出することで二次元コードの配置を決定するとともに、二次元コードの内容を読み取ります。

位置決め用の図形の例


 図4(右図)に位置決め用の図形の例が示されています。

 この例では、1つの二次元コードのなかに位置決め用の図形が3カ所に配置されています。そして、3つの図形は、それぞれ、黒い正方形の中に、縮小した白い正方形があり、その白い正方形の中に黒い正方形がある図形になっています。

 この場合、どんな角度の線で読み取っても、周波数成分比は、暗:明:暗:明:暗=1:1:3:1:1になっています。

 マトリクスにこのような特徴があるので、どのような角度で読み取っても位置決め用の図形の位置を簡単に見つけることができ、それに基づいてシンボル間の距離や角度を使って、精度よく情報を読み取っていくことができます。

 あと、正方形以外の例として、丸や六角形でもできます。特許の権利範囲が正方形だけに限られておらず、広い権利範囲をカバーできています。

 特許第2867904号 株式会社デンソー
 出願日:1994年12月26日 登録日:1998年12月25日

【課題】
全方向で高速読み取りができ、さらに読み取り精度が高い2次元コード読取装置を提供する。
【請求項1】
 2進コードで表されるデータをセル化して、2次元のマトリックス上にパターンとして配置し、マトリックス内の、少なくとも2個所の所定位置に、各々中心をあらゆる角度で横切る走査線において同じ周波数成分比が得られるパターンからなる位置決め用シンボルを配置した2次元コードを読み取るための2次元コード読取装置であって、
 2次元画像検出手段と、
 上記2次元画像検出手段から出力される走査線信号中での、上記周波数成分比の信号の存在を検出する周波数成分比検出回路と、
 上記走査線信号を少なくとも一画面記憶する画像データ記憶手段と、
 上記周波数成分比検出回路にて該当する信号が存在するとされた場合、該当する走査線信号が含まれる2次元画像中での、上記該当する信号の位置を検出する位置検出手段と、
 上記位置検出手段によって検出された上記該当する信号の画面上の位置を記憶するシンボル位置記憶手段と、
 上記シンボル位置記憶手段に記憶されている位置に基づいて、2次元コードの配置を決定するコード位置決定手段と、
 上記コード位置決定手段にて決定された2次元コードの配置に基づいて、2次元コードの内容を読み取るコード読取手段と、
 を備えたことを特徴とする2次元コード読取装置。

今日のみどころ

 1998年に登録されていた、QRコードの読取装置の基本的な特許を紹介しました。QRコードの特許は、デンソーが使用に制限を設けなかったこともあり広く使われるようになりました。

 携帯電話やスマホで画像の表示や読取ができるようになったこともあって、一般の人同士での情報のやりとりにQRコードが良く使われるようになりましたよね。最近では、LINEの連絡先の交換や、スマホのQRコード決済に使われるようになった事例もあります。

 こういう技術を開発できるようになりたいですよね。

 なお、二次元コードつまりQRコードの特許についてもこちらの記事で紹介しています。ご参考に。