今回は、住戸の異常検知に関する特許発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、住人が不在のときに生活モニタシステムを解除する必要があります。
この発明では、室内側から施錠された住戸で異常があると共用の表示装置に表示します。これにより、住人が不在のときにモニタシステムを解除する必要がなくなります。また、施錠された状態の住戸で異常があったことを、共用口や各階にある表示装置を見るだけで知ることができるメリットもあります。
住人が不在のときに生活モニタシステムを解除する必要がある
コミュニティから孤立してしまっている状態の人(独居老人など)の非常事態を未然に防ぐためのしくみがあります。
例えば、電気ポットの使用頻度を検知して、使用しない期間が長くなった場合に報知する生活モニタシステムがあります。
しかしながら、上記のような生活モニタシステムでは、住人が不在のときにはシステムの動作を解除しておかなければならない不便さがあります。住人が不在のときもシステムが動作していると、長期間電気ポットの使用がないことを異常と検知して報知してしまうからです。
室内側から施錠された住戸で異常があると共用の表示装置に表示
この発明のシステムは、マンションなどの集合住宅の住戸それぞれに設けられる監視装置と、そのマンションの共用口や各階に設けられる表示装置とから構成されます。
監視装置は、各住戸の室内側にとりつけられ、室内側からの施錠の操作がなされてから、あらかじめ設定された時間が経過したあとに、室内に異常がある場合に信号を出力します。
出力された信号は、有線(通信線)または、無線によって表示装置に送られます。
表示装置は、各住戸の監視装置からの信号を監視し、信号を受信した場合には、その住戸に異常があることを表示します。
このようにすることで、住人が不在のときにモニタシステムを解除する必要がなくなります。また、施錠された状態の住戸で異常があったことを、共用口や各階にある表示装置を見るだけで知ることができます。各住戸にまで確認しに行く必要がないこともメリットです。
特許第5893323号 美和ロック株式会社
出願日:2011年9月30日 登録日:2016年3月4日
より確実に住戸内の在室状態を外部に知らせて確認することが可能な在室確認錠システムを提供する。
【請求項1】
建物の各住戸の室内側に設けられる室内表出部材に取り付けられ、前記室内側からの施錠操作を検出し、この室内側からの施錠操作を検出してからの計測時間が設定時間を経過したときに、室内に異常がある旨の異常出力信号を出力する在室監視装置と、
前記建物の共用口又は該建物の各階毎に設けられ、前記在室監視装置の制御手段との間で有線又は無線により通信可能であって、前記制御手段から異常出力信号を受けたときに、室内に異常がある旨を識別表示する在室確認表示装置とを備えたことを特徴とする在室確認錠システム。
今日のみどころ
マンションの住戸で異常があったことを表示装置によって知らせる発明です。
各住戸の施錠の検知と異常の検知を、表示装置での表示に結び付ける技術で、けっこうシンプルです。こういうシンプルな発明で特許をとれるといいですよね。
「室内側からの施錠操作」という文言があるのがおもしろいポイントですね。室外側からの施錠操作ではないところで効果につながるからです。