顧客に物品が提供されたら上司に通知して提供忘れを回避する発明 NECフィールディング

 担当者が顧客に訪問したのに、渡すべき物品を渡せないことに気づけないという問題を解決する発明です。

 この発明の情報端末は、担当者により保有されており、顧客に提供すべき物品が提供されたときに上司端末に情報送信します。これにより、顧客に渡すべき物品を渡すことができない場合に上司が気づく可能性がでてきます。

 特許第6037467号 NECフィールディング株式会社
 出願日:2014年8月5日 登録日:2016年11月11日



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

顧客に訪問したのに渡すべき物品を渡せないことに気づけない問題

 企業活動において、製品のサンプルやカタログなどの物品を顧客のオフィスなどに持参して提供することが行われています。実際に顧客に対面して物品を手渡し、対話で情報をやりとりすることで、相手との良い関係を築くことができ、営業の手法としてもよいやり方です。

 しかし、担当者が客を訪問していないとか、顧客を訪問したのに持参した製品のサンプルやカタログをするのを忘れてしまうということが起き得ます。

 そして、担当者はそのことにしばらく気づくことができないという問題が起きます。

物品が提供されたら上司端末に連絡する

 この発明の情報端末は、無線タグ(RFIDタグ等)のリーダを備えています。また、担当者が顧客に物品(製品のサンプルやカタログなど)を提供する位置(位置情報)と、物品を提供する時間(時間情報)を記憶しています。

 一方、担当者が顧客に提供する物品には、無線タグが取り付けられています。担当者が顧客に物品を提供する前には、情報端末のリーダが無線タグからの電波を受信します。一方、担当者が顧客に物品を提供した後には、リーダが無線タグからの電波を受信しなくなります。

 情報端末は、記憶している位置情報と時間情報とを参照して、担当者が物品を提供すべき位置及び時間に、無線タグからの電波を受信しなくなった場合に物品が提供されたことを上司の端末に連絡します。このようにして、担当者が実際に物品を顧客に提供した旨の通知が上司に伝達されます。この通知がなければ提供忘れを上司が気づけます。

 また、顧客に提供すべき物品があることを担当者に通知するアイデアもあります。

【課題】
本発明は、物品が顧客に渡されたか否かを第三者が確認できる端末、端末の制御方法、プログラム及び物品配布確認システムを提供する。
【請求項1】
 他の端末に情報を送信する通信部と、
 自装置の現在位置を算出する位置算出部と、
 物品に付された無線タグに格納された情報を読み取る読み取り部と、
 前記位置算出部が算出する現在位置と、前記無線タグが記憶する情報であって前記無線タグが付された物品を移転させる場所を示す位置情報と、に基づいて前記無線タグが付された物品の移転を監視するか否かを判定する判定部と、
 前記移転が監視される物品に付された無線タグからの無線信号が非検出となった場合に、前記移転が監視される物品の移転を、前記通信部を介して前記他の端末に通知する通知部と、
 を備える、端末。

今日のみどころ

 担当者が顧客のオフィスに出向いたのに、顧客に渡すべきものを渡さずに帰ってくる。これは実際には結構あることです。不慣れであったり、緊張したりして忘れてしまうこともあり、ビジネス関係の上で相手もなかなか指摘しづらいことも要因の1つかもしれません。

 この発明がうまく機能すれば、担当者が顧客のオフィスから離れる前、または離れた直後くらいに、物品の提供がなされなかったことを上司が知ることができ、もう一度顧客に会って物品を渡すチャンスが得られます。

 ビジネス上の客先訪問のシーンが思い浮かぶ、おもしろい発明です。