低品質コンテンツ再生中にオリジナルコンテンツを取得して切替る発明 バッファロー

 低品質コンテンツを再生しているときにオリジナルコンテンツの再生へ手動で切り替えるのが不便であるという問題を解決する発明です。

 この発明の情報端末は、低品質コンテンツ再生中に、オリジナルコンテンツを逆順で取得して、これらが同一の再生位置になった時点で再生を切替えます。これにより、オリジナルコンテンツが途切れることなくスムーズに再生されます。

 特許第6036373号 株式会社バッファロー
 出願日:2013年2月15日 登録日:2016年11月11日



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

低品質コンテンツからオリジナルコンテンツへの切り替えが手動だと不便

 スマホや携帯電話端末などの通信端末で、インターネット上のコンテンツサーバにある動画コンテンツを再生する場合、ストリーミング又はダウンロードにより取得しながら再生することが行われています。この場合、基地局からの電波強度の低下により通信回線の品質が低下すると、通信が途切れ、動画コンテンツの再生が停止してしまいます。

 また、動画コンテンツを低容量化して通信端末側で保持することで、動画コンテンツの再生が途切れることを回避する技術もあります。

 しかし、通信回線の品質に応じて、ストリーミングするか、通信端末が保持しているデータを再生するかをユーザが手動で切り替えるのではユーザの手間がかかるという問題があります。

低品質コンテンツ再生中に、オリジナルコンテンツを逆順で取得して再生切替え

 この発明の情報処理装置(情報端末に相当)は、まず、低品質コンテンツを取得して再生を開始します。その再生中に、コンテンツサーバからオリジナルコンテンツを取得します。オリジナルコンテンツは、データの末尾から先頭に向けて取得されるのが特徴です。実施の形態では、データの末尾から先頭に向け配列しなおしたデータ(反転オリジナルコンテンツデータ)を先頭から取得するようにしています。

 そして、再生している低品質コンテンツの再生位置と、取得しているオリジナルコンテンツの再生位置とが同じになったとき、オリジナルコンテンツの再生を開始します。このタイミングより後のオリジナルコンテンツは、ダウンロード済みであるので、途切れることなくスムーズに再生されます。

【課題】
情報記録装置に格納されたコンテンツデータを通信回線経由で通信装置で再生する場合において、通信回線の通信品質に応じて可能な限り高品質のコンテンツデータ再生を行うことの可能なコンテンツ再生システム、通信装置及びコンテンツ再生方法を提供する。
【請求項1】
 第1の通信部と第1の記憶部とを有する情報処理装置と、第2の通信部と第2の記憶部とを有する通信装置とを備え、前記情報処理装置と前記通信装置とは第1及び第2の通信部及びこれら通信部間の通信回線により互いに通信可能であるコンテンツ再生システムにおいて、
 前記第1の記憶部にはオリジナルコンテンツデータが格納され、
 前記第2の記憶部には、前記第1の記憶部内に格納された前記オリジナルコンテンツデータの品質を低下させた低品質コンテンツデータが転送されて格納され、
 前記通信装置は、
 前記第2の記憶部内に格納されたデータを再生する再生部と、
 前記再生部により前記低品質コンテンツデータの再生をしているときに、前記第2の通信部を介して前記第1の記憶部に格納されたオリジナルコンテンツデータの転送を前記情報処理装置に要求し、転送されてきた前記オリジナルコンテンツデータを再生部により再生させる再生制御部と
を備え、
 前記情報処理装置は、前記通信装置から前記オリジナルコンテンツデータの転送要求があると、このオリジナルコンテンツデータをその末尾から先頭に向けて順次転送する転送制御部を備え、
 前記再生制御部は、前記再生部による前記低品質コンテンツデータの再生位置と前記情報処理装置から転送されてきた前記オリジナルコンテンツデータの転送位置とが略一致したら、転送されてきた前記オリジナルコンテンツデータを再生部により再生させる
ことを特徴とするコンテンツ再生システム。

今日のみどころ

 この発明では、前から低品質コンテンツの再生をはじめるとともに、後ろからオリジナルコンテンツの取得をはじめます。それらの位置が一致する時点は、ちょうど、その時点以降のオリジナルコンテンツが取得できている時点です。このことを利用して、低品質コンテンツの再生からオリジナルコンテンツの再生に切り替えます。

 コンテンツのデータ量の小ささと品質の良さはトレードオフの関係にあるので、原則的には両立することが難しいです。トレードオフのパターンの場合、状況に合わせて使える方を使ってユーザの利便性と高くすることができるといいです。

 上手に「前から」と「後ろから」を組み合わせて効果を出していると思います。すばらしい。