【特許紹介】異なるゲーム間でデータを移行するときの通信量を制限する特許発明(任天堂)を紹介

 今回は、ゲーム間でのデータの移行に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、キャラクタデータが増大すると通信量が増大する問題があります。

 この発明では、コンテンツデータを移行する拡張機能が無効のときは通信量を制限して通信をします。これにより、コンテンツデータが増大しても通信量の増大を抑制することができます。



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キャラクタデータが増大すると通信量が増大する問題

 ゲームで利用するコンテンツデータ(具体的には、キャラクタデータ)を保管するサービスがあります。(具体的には、ポケモンのキャラクタのデータを保管サービスがあります。)

 具体的には、コンテンツデータを、ゲーム機からインターネット上のサーバに保管したり、保管したデータを引き出してゲーム機にダウンロードしたりすることができます。

 しかし、キャラクタデータが増大すると、通信量が増大してしまうという問題があります。

コンテンツデータを移行する拡張機能が無効のときは通信量を制限


 この発明のシステム(コンテンツデータ保持システム)は、コンテンツデータが増大しても通信量の増大を抑制することができます。

 具体的には、このシステムは、複数のサーバをもっています。

 サーバは、コンテンツデータを記憶できる上限の数が定められています。サーバは、ゲーム機送信されたコンテンツデータを保管し、また、要求されたコンテンツデータをゲーム機に送信します。

 コンテンツデータは、拡張機能の利用権が有効である期間を有しています。拡張機能には、コンテンツデータをサーバ間で移行する機能が含まれています。

 サーバは、保管しているコンテンツデータを他のサーバに移行するときには、拡張機能の利用権が有効であるか否かを判定します。他のサーバは、他のゲームで利用されるキャラクタを保管しているサーバです。

 そして、利用権が無効であると判定された場合には、有効なときよりも制限された通信量での通信をします。

 これにより、コンテンツデータが増大しても通信量の増大を抑制することができます。

 特許第6830125号 任天堂株式会社
 出願日:2019年5月27日 登録日:2021年1月27日

【課題】
 コンテンツデータを複数のゲームで利用可能なシステムにおいて、コンテンツデータの増大に伴う通信量の増大を抑制する。
【請求項1】
 少なくとも1つのサーバと、当該サーバに接続可能な少なくとも1つの他のサーバを含み、
 前記サーバは、
  複数種類のゲームで利用可能なコンテンツのコンテンツデータを、第1の件数を上限として記憶するコンテンツ記憶媒体と、
  前記コンテンツデータに関する拡張機能の利用権の有効期間情報を記憶する管理情報記憶媒体と、
  前記コンテンツデータを管理する管理プログラムを実行するプロセッサを備え、
 前記他のサーバは、
  第1の情報処理装置により預け入れのために送信された前記コンテンツデータを受信して記憶し、
  前記第1の情報処理装置により引き出された前記コンテンツデータを前記第1の情報処理装置に対して送信し、
  前記サーバに前記コンテンツデータを送信し、
 前記管理プログラムは、前記プロセッサに、
  前記管理情報記憶媒体に記憶された前記有効期間情報に基づいて、前記拡張機能の利用権が有効か無効か判定させ、
  前記拡張機能の利用権が無効なとき、有効なときよりも制限された情報を対象として、前記他のサーバとの間で、前記コンテンツデータの送信または受信の少なくともいずれかを行わせる、
 コンテンツデータ保持システム。

今日のみどころ

 キャラクタデータの保管と、異なるゲーム間でのキャラクタデータの移行とをすることができるシステムでの通信量削減のアイデアです。(図1からすると、nintendo DSとスイッチとの間でキャラクタデータの移行をすることができるシステムのようです。)

 ゲームに関するアイデアは、特許の保護対象にならない懸念があります。そのため、書き方を工夫して、技術の説明をするように記載する必要があります。

 保護対象に入れるように上手に記載するのも弁理士(特許技術者)の腕の見せ所です。