【特許紹介】さまざまな決済方法に対応した決済端末のパネルの視認性を良くする特許発明(パナソニック)を紹介

 今回は、さまざまな決済方法に対応した決済端末に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、決済端末のカメラの位置がよくないと、コードの撮影時に、ユーザが表示部を見にくいという問題があります。

 この発明の決済端末は、下から順にレンズ、カードスロット、パネルの順に配置されているなどの特徴があります。これにより、さまざまな決済方法への対応、小型化、配置効率向上、表示部の視認性の向上をします。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

決済端末のカメラの位置がよくないと撮影時に表示部を見にくい問題

 スーパーなどの店舗でさまざまな決済方法が利用されています。例えば、磁気カード、タッチパネル、接触ICカード、非接触ICカード、二次元コード(QRコードやバーコード)を利用したさまざまな決済方法が利用されています。

 クレジットカードは、磁気カードまたは接触ICカードに該当します。

 そして、そのようなさまざまな決済方法に対応した読取装置が利用されています。

 さまざまな決済方法に対応した読取装置では、カメラの配置位置がよくないと、カメラによる撮影時に表示部の視認性が悪くなる(言い換えれば、カメラがコードを撮影する時に、ユーザが表示部を見にくい)ことがあるという問題があります。

下から順にレンズ、カードスロット、パネルの順に配置


 この発明の決済端末は、さまざまな決済方法に対応でき、小型化でき、撮像部の配置効率を向上でき、撮影時の表示部の視認性を向上できます。

 決済端末には、決済端末の載置面に近い方から順に(つまり、底部のほう(下)から順に)、カメラのレンズ、カードスロット、パネル配置面があります。

 また、パネル配置面は、決済端末の利用者に向かって斜め情報を向いています。レンズの光軸は、決済端末の利用者に向かって斜め情報を向いています。

 レンズは、カードスロットより利用者に近い位置に配置されています。

 このような構成をとっていることで、決済端末は、さまざまな決済方法への対応、小型化、配置効率向上、表示部の視認性の向上をすることができます。上記構成の全体が重要なのですが、とくに、カメラが前面かつ底面に近い位置にあることが重要なのかなと思います。

 特許第6827206号 パナソニックIPマネジメント株式会社
 出願日:2020年9月7日 登録日:2021年1月21日

【課題】
 様々な決済方式に対応でき、決済端末を小型化でき、撮像部の配置効率を向上でき、撮像時の表示部の視認性を向上できる決済端末を提供する。
【請求項1】
 決済端末であって、
 画像を撮像するカメラのレンズと、
 接触I C カードが挿入されるカードスロットと、
 タッチパネルと、を備え、
 前記決済端末が載置される載置面から高さ方向に、前記載置面の近くから順に、前記レンズ、前記カードスロット、及び前記タッチパネルが配置された面であるパネル配置面が配置され、
 前記カードスロットに対して利用者が正面に対峙した場合に、前記パネル配置面の向きは、前記利用者に向かって斜め上方であり、前記レンズの光軸方向は、前記利用者に向かって斜め上方であり、且つ、前記レンズは、前記カードスロットよりも前記利用者に近い位置に配置された、
 決済端末。

今日のみどころ

 めずらしく構造に関する特許(いわゆる構造モノ)を解説しました。

 ここ数年で決済方法がとても多くなってしまって、対応する端末を準備する側、端末を配置する店舗も大変ですよね。決済方法ごとに端末を準備していたら、端末だらけになってしまいます。

 なので、少数の端末、できれば1台の端末でさまざまな決済方法に対応するのが理想で、それを目指した発明です。

 ポイントは、レンズ、カードスロット、カメラが配置されている位置や向きの特徴です。結構シンプルで、これが特許になるのが少し驚きですが、逆に言えば、このようなアイデアで特許がとれるということです。勉強になります。