【特許紹介】実在庫数とRFIDタグ数が合わない場合に対処できる特許発明(ファストリ)を紹介

 今回は、RFIDを用いた商品在庫管理に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、商品とRFIDタグとの関連付けが失われると商品を特定できなくなる問題があります。

 この発明では、商品在庫数とRFIDタグ数に差異が生じた事情に応じて商品カウント数を加減します。これにより、商品の正確な在庫数を管理できます。



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商品とRFIDタグとの関連付けが失われると商品を特定できなくなる問題

 無線のタグ(RFIDタグ)を用いて店舗内の商品の在庫を管理することがあります。

 店舗内の各商品にRFIDタグが取り付けられていて、RFIDから商品固有の情報を読み取ることで在庫管理をすることができます。

 しかし、RFIDタグの破損や、RFIDの付け忘れなどがあると、商品とRFIDタグとの関連付けが失われ、商品を特定することができなくなるという問題があります。

商品在庫数とRFIDタグ数に差異が生じた事情に応じて商品カウント数を加減


 この発明の在庫管理システムは、商品の正確な在庫数をリアルタイムで管理することができます。

 サーバは、店舗内の在庫数と、RFIDタグの数とに差異が生じたときに、その差異が生じた事情を履歴として記憶します。

 事情というのは、例えば、RFIDが破損していたことなどです。販売処理などされた商品のRFIDタグの読み取りができたか否かによって判定されます。

 事情が記憶された場合、実在庫数をカウントする際には、その事情を用いて商品のカウント数を加減し、加減したカウント数を実在庫数として管理します。

 このようにして、RFIDが破損していた時などにも、正しい在庫数を管理することができます。

 特許第6817687号 株式会社ファーストリテイリング
 出願日:2019年4月16日 登録日:2021年1月4日

【課題】
商品の正確な在庫数をリアルタイムで管理することを目的とする。
【請求項1】
 無線通信タグ数をカウントすることにより商品の実在庫数を管理するサーバ(10)を備えた在庫管理システム(100)において、
 前記サーバ(10)は、
 店内における前記商品の実在庫数と前記無線通信タグ数との間に差異が生じるたびに、当該差異が生じた事情を履歴として記憶し、
 実在庫数をカウントする際、前記商品に関連付けられた無線通信タグ数をカウントし(S1)、前記事情の履歴に応じて(S2,S4,S6,S8)、前記無線通信タグ数のカウント値を加減し(S3,S5,S7,S9)、
 加減した後の前記無線通信タグ数のカウント値を前記商品の実在庫数として管理する
 ことを特徴とする在庫管理システム(100)。

今日のみどころ

 RFIDタグを用いた在庫管理に関する課題の解決のための発明です。

 RFIDタグを用いた在庫管理の基本的な技術は、もうだいぶ成熟して、たくさん特許が成立していると思います。でも、RFIDタグの破損など、正常でない事象が起きた場合の、異常に対処するためのアイデアは、まだまだ特許ネタになるような気がしますね。