従来のネットショッピング(ショッピングカートモデル)では少ない商品を注文するときにもやりとりが多いという問題がありました。
この発明では、1クリックで、確認を要求しないで注文を完了します。また、その注文要求を過去の注文要求と結合します。これにより、商品購入の際のユーザの煩わしさを解消します。
アマゾンの1クリック注文に関する特許の1つです。もう1つはこちらで以前に紹介済みです。
特許第4959817号 アマゾン コム インコーポレイテッド
出願日:2010年2月2日(分割の原出願日:1998年9月14日) 登録日:2012年3月30日
ショッピングカートモデルでは少ない商品を注文するときにもやりとりが多い
インターネット経由で商品を購入する販売システムがあります。インターネット上の通信販売、ネット通販、ネットショッピングを意味しています。電子商取引とも呼ばれています。
この販売システムでは、ショッピングカートモデルを基礎にしたものが一般的でした。購入者がWebページを見ながら商品を選択していくと、選択された商品が一旦ショッピングカートに入れられます。その後、ユーザが選択を完了して購入に必要な情報を入力すると、ショッピングカートに入れられた商品がチェックアウト(発注)されるしくみです。
このモデルは、購入者側に多数のやりとりが発生するという欠点がありました。例えば、商品を1つだけ注文する場合でも、複数のWebページを順にたどっていく必要があり、煩わしいという問題がありました。
1クリックで確認を要求しないで注文し、注文を結合
この発明では、ユーザの識別子をサーバに保存しています。ユーザの端末は、ユーザの識別子をサーバから受信します。また、複数のアイテムそれぞれについてのシングルアクション注文(1クリックによる注文)のためのボタンを受信して表示します(図1のボタン103a)。このシングルアクション注文は、注文を完成させるための唯一のアクションです。
ユーザがこのボタンに対して操作をすると、ユーザへの注文の確認を要求しないで、注文要求とユーザの識別子とをサーバに送信します。そして、サーバでは、ユーザから受け付けたシングルアクション注文の要求を、過去のシングルアクション注文の要求と結合させて1つの注文とします(注文情報106)。
これにより、商品購入の際のユーザの煩わしさを解消します。
ある購入者がアイテムを1つだけ注文する場合、注文プロセスの種々ステップを確認し、購入者固有注文情報を待ち、表示し、更新するオーバヘッドは、その項目を選択すること自体のオーバヘッドよりもはるかに大きくなる可能性がある。
【請求項1】
アイテムを注文するためのクライアント・システムにおける方法であって、
前記クライアント・システムのクライアント識別子を、前記クライアント・システムのコンピュータによりサーバ・システムから受信すること、
前記クライアント・システムで前記クライアント識別子を永続的にストアすること、
複数のアイテムの各々のアイテムについて、
前記アイテムを特定する情報と、前記特定されたアイテムを注文するのに実行すべきシングル・アクションの指示部分とを、前記クライアント・システムのディスプレイに表示することであって、前記シングル・アクションは、前記特定のアイテムの注文を完成させるために前記クライアント・システムに要求される唯一のアクションであり、前記クライアント・システムに対して前記シングル・アクションの実行に続いて前記注文の確認を要求しないこと、および
前記シングル・アクションが実行されることに応答して、前記特定されたアイテムの注文要求と前記クライアント識別子とを、前記サーバ・システムに送信することであって、前記注文要求は、前記シングル・アクションによって示されたシングル・アクション注文要求であり、前記クライアント識別子は、ユーザのアカウント情報を特定することを備え、
前記サーバ・システムが、前記シングル・アクションによって示されたシングル・アクション注文要求と、前記クライアント識別子に関連付けられた1または複数の以前のシングル・アクション注文要求とを組み合わせ、1つの注文に結合することを特徴とする方法。
今日のみどころ
有名になったアマゾンの1クリック注文の特許の日本バージョンの1つです。先日紹介した特許(第4937434号)と共通の明細書で、権利範囲は少し違っています。上記特許の審査中に、少し違ったポイントをメインにして分割出願したものと推察されます。上記特許と異なる点は、主に、本件では「注文の確認を要求しない」ことを明記していること、注文要求を組み合わせる条件が特に規定されていないこと、などがあります。
このような分割出願は、特許の審査の途中の処理(中間処理)で別のポイントでも特許をとるために使えます。また、特許の件数を増やすために行うこともあります。うまく活用しましょう。