【特許紹介】ネットオークションの売上金の一部を支援金にする特許発明(ヤフー)/ふるさと納税やクラウドファンディングの支援

 今回は、ネットオークション、ふるさと納税、クラウドファンディングに関する特許発明を紹介します。

 従来、ネットオークションで出品者の売却意欲を高めることができない問題があります。

 この発明では、ネットオークションの売上金額の一部を支援先に提供します。支援はふるさと納税やクラウドファンディングです。これにより、様々な支援先への資金提供ができるので、出品者の物品の売却意欲を高めることができます。



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ネットオークションで出品者の売却意欲を高めることができない問題

 従来、インターネットを介して所定の団体などに寄付や投資によって金銭を提供することができるようになっています。

 また、ネットオークションで出品者が物品を販売したとき、販売価格の一部を寄付する技術があります。これにより、購入者は、物品の購入と寄付を一度に行うことができます。

 しかし、この方法では、ユーザによる物品の売却意欲を高めることができないという問題があります。

ネットオークションの売上金額の一部を支援先に提供


 この発明は、物品を売りに出し、その物品が売れた時の売上金のうちの一部を支援先に提供するシステムに関する発明です。

 具体的には、このシステムは、あらかじめ売り主から、支援先に提供するための金額(所定の金額)の設定を受けます。

 そして、売り主の物品の売上金額の累計が、その金額に達すると、支援先を売り主に選択させたうえで、その金額が支援先に提供されます。

 このようにすることで、様々な支援先への資金提供ができるので、出品者の物品の売却意欲を高めることができます。

支援はふるさと納税やクラウドファンディング

 上記の金額の提供は、ふるさと納税の場合(第1の実施形態)と、クラウドファンディングの場合(第2の実施形態)があります。この両方を包括するように上手に請求項1が作られています。

 第1の実施形態には、支援金がふるさと納税の場合が記載され、この場合、支援先は自治体などになります。

 第2の実施形態には、支援金がクラウドファンディングの場合が記載され、この場合、支援先はクラウドファンディングの出資を受ける出品者になります。

 ふるさと納税とクラウドファンディングの共通部分をうまく抽出して請求項1が作成されています。

 特許第6209647号 ヤフー株式会社
 出願日:2016年5月31日 登録日:2017年9月15日

【課題】
ユーザによる物品の売却意欲を高める。
【請求項1】
 物品を売りに出すことで当該物品の売主が得ることのできる売上金額の蓄積に関して指定する指定情報として、支援先に提供するために蓄積させる金額の指定を当該売主から受け付ける第1 受付部と、
 前記売上金額のうち前記第1 受付部により受け付けられた金額を前記売主の口座に対応する記憶部に蓄積する蓄積部と、
 前記蓄積部により前記記憶部に蓄積された売上金額であって前記売主の売上金額の累計額が前記売主により指定された所定の金額に達した場合に前記支援先のうち当該所定の金額を提供される支援先を選択するためのページを前記売主に送信することにより前記売主から当該所定の金額を提供される支援先の選択を受け付け、当該所定の金額が、前記売主により選択された支援先に提供されるよう制御する管理部と
 を有することを特徴とする情報処理装置。

今日のみどころ

 オークションと、ふるさと納税又はクラウドファンディングを組み合わせた発明で、ビジネスモデル特許に該当すると思います。

 ふるさと納税の場合と、クラウドファンディングの場合の両方を包括するように上手に請求項1を記載しています。請求項の書き方もよい勉強になります。

 オークションなどの特許について明細書などを作成するときには参考にできるでしょう。