【特許紹介】クラウドファンディングを会場で行うライブファンディングの特許発明(Relic)

 今回は、クラウドファンディングを会場で行うライブファンディングの特許発明を紹介します。ビジネスモデル特許といえると思います。

 従来、クラウドファンディングでプロジェクトの価値を十分に伝えることができない問題があります。

 この発明では、会場のスクリーンにプロジェクトの内容を表示するライブファンディングによって、クラウドファンディングの普及に貢献します。またクラウドファンディングの報酬を別のユーザが受けられるように制御します。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

クラウドファンディングでプロジェクトの価値を十分に伝えることができない問題

 インターネットを介して商品開発プロジェクトなどの資金援助を受けるクラウドファンディングというしくみがあります。

 クラウドファンディングでは、一般に、インターネットのウェブページ上にプロジェクトに関する情報を公開します。

 しかし、ウェブページ上に公開される情報だけではプロジェクトの価値を十分に伝えることができないという問題があります。このような問題があるとクラウドファンディングの普及が妨げられることになります。

ライブファンディングで報酬を別のユーザが受けられる


 この発明のクラウドファンディングの処理装置は、プロジェクトのオーナが会場で行うレゼンテーションを見て、プロジェクトへの投票を行うことができます。このような形式のクラウドファンディングをライブファンディングともいいます。

 具体的には、プロジェクトに関する情報を、ライブファンディング会場のスクリーンに表示します。ユーザは、この情報を見て、プロジェクトの支援をするかどうかを決めます。

 プロジェクトがローンチされると、ユーザが受け取ることができる報酬金額を示す情報である「チケット」が記憶されます。

 そして、このシステムでは、そのチケットとユーザとの関連付けを解除して、別のユーザと紐付けることができるという特徴があります。これは、報酬金額を受ける権利を別のユーザに譲渡することに対応しています。

 このようにして、別のユーザが報酬を受けれられるようにしたライブファンディング(クラウドファンディング)を実現し、クラウドファンディングの普及に貢献します。

 特許第6539847号 株式会社Relic
 出願日:2016年3月1日 登録日:2019年6月21日

【課題】
クラウドファンディングの普及を促進することができる情報処理装置を提供する。
【請求項1】
 クラウドファンディングの会員であるユーザを識別するユーザ識別情報と、前記クラウドファンディングのプロジェクトを識別するプロジェクト識別情報とを記憶する記憶装置にアクセス可能な情報処理装置であって、
 前記プロジェクトのプロジェクトオーナによるプレゼンテーションが行われるライブファンディング会場内にいる第1ユーザの指示に応じて、前記第1ユーザを識別する第1ユーザ識別情報と、前記プロジェクト識別情報と、前記プロジェクトへの支援に対する報酬の予約に関する予約情報と、を関連付けて記憶する手段を備え、
 前記予約情報に基づいて、ライブファンディング会場に設けられたスクリーンに、予約が行われたことを示す画面を表示する手段を備え、
 前記ライブファンディングの終了後に前記プロジェクトがローンチされると、前記第1ユーザに、前記プロジェクトがローンチされたことを示すメッセージを送信する手段を備え、
 前記メッセージを受信した第1ユーザの指示に基づいて、前記第1ユーザ識別情報と、前記プロジェクト識別情報と、前記プロジェクトへの支援の金額を示す情報と、を関連付けて記憶する手段を備え、
 前記第1ユーザ識別情報に、前記プロジェクトへの支援に対する報酬を受け取る権利であるチケットを識別するチケット識別情報を関連付けて記憶する手段を備え、
 前記第1ユーザからの指示に応じて、前記第1ユーザ識別情報と前記チケット識別情報との関連付けを解除し、かつ、前記第1ユーザによって指定された第2ユーザを識別する第2ユーザ識別情報に前記チケット識別情報を関連付ける手段を備える、
 情報処理装置。

今日のみどころ

 クラウドファンディングの発展形であるライブファンディングを実現する発明で、ビジネスモデル特許の典型と言えそうです。

 おそらく、ライブファンディングそのものでは特許を取ることが難しいと思いますが、報酬を受ける権利をユーザ間で譲渡できるようにしているところが、特許を取るためのひと工夫なのかもしれませんね。

 こういう感じで特許がとれるんだなっていう参考になりますね。