【特許紹介】クラウドファンディングの報酬権利を譲渡できるようにする特許発明(Relic)を紹介

 今回は、クラウドファンディングに関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、クラウドファンディングの報酬について心理的障壁が高く普及の妨げになる問題があります。

 この発明では、クラウドファンディングの報酬を受ける権利を譲渡できるようにします。これにより、クラウドファンディングの利便性を向上させ、クラウドファンディングの普及を促進します。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

クラウドファンディングの報酬について心理的障壁が高く普及の妨げになる問題

 インターネット上でプロジェクトに対して金銭的な支援をするクラウドファンディングのしくみがあります。

 クラウドファンディングでは、プロジェクトが成立すると、一定の金額を支払ったことに対する報酬が得られます。

 しかし、従来のクラウドファンディングでは、報酬を受け取ることができるのが、プロジェクトが終了した後になる、支援した後にキャンセルできないなどの制限があり、心理的障壁が高く、普及の妨げになるという問題があります。

クラウドファンディングの報酬を受ける権利を譲渡できる

 この発明の装置では、クラウドファンディングの報酬を受ける権利を、別の支援者に譲渡できるようにすることで、利便性を高くし、クラウドファンディングの普及を促進します。

 まず、クラウドファンディングのユーザ(第1ユーザ)と、プロジェクトの識別情報と、支援金額を示す情報とを関連付けて保存します。また、第1ユーザにチケット識別情報を関連付けて保存します。

 次に、第1ユーザからの指示があると、第1ユーザとチケット識別情報との関連付けを解除し、新しいユーザ(第2ユーザ)にチケット識別情報を関連付けて保存します。

 このようにして、第1ユーザから第2ユーザにチケットを譲渡できるようにしています。

 特許第6504607号 株式会社Relic
 出願日:2016年2月2日 登録日:2020年5月8日

【課題】
クラウドファンディングの普及を促進することができる情報処理装置を提供する。
【請求項1】
 クラウドファンディングの会員であるユーザを識別するユーザ識別情報と、前記クラウドファンディングのプロジェクトを識別するプロジェクト識別情報とを記憶する記憶装置にアクセス可能な情報処理装置であって、
 第1ユーザの指示に応じて、前記第1ユーザを識別する第1ユーザ識別情報と、前記プロジェクト識別情報とに、前記プロジェクトへの支援の金額を示す情報を関連付けて記憶する第1関連付け手段と、
 前記第1ユーザ識別情報に、前記プロジェクトへの支援に対する報酬を受け取る権利を識別するチケット識別情報を関連付けて記憶する第2関連付け手段と、
 前記第1ユーザからの指示に応じて、前記第1ユーザ識別情報と前記チケット識別情報との関連付けを解除し、かつ、前記第1ユーザによって指定された第2ユーザを識別する第2ユーザ識別情報に前記チケット識別情報を関連付ける第3関連付け手段と、
を備える、情報処理装置。

今日のみどころ

 クラウドファンディングのしくみに関する特許で、典型的なソフトウェア特許です。ビジネスモデル特許ともいえます。

 情報を関連付けて記憶したり、その関連付けを解除したりする、という情報処理だけが請求項1に書かれています。クラウドファンディングのしくみを理解していると読みやすいと思います。

 クラウドファンディングの他にも、ネット通販、ネットオークション、アフィリエイトなど、ネット上でのお金や商品のやり取りに関するビジネスの特許を作るときの参考になります。