取得した全データをプロキシサーバに保存して思い出しを支援する発明 NTT

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 端末で閲覧されたウェブページの履歴を取得するウェブ閲覧履歴取得システムに関する発明です。端末で閲覧されたウェブページのデータがプロキシサーバにより取得不可能である場合に、端末がこのデータをプロキシサーバに送信します。

 この技術の目的の1つは、端末での閲覧履歴をユーザに提供することで、ユーザの思い出しを支援することです。

 特許第5809097号(特開2013-218626) 日本電信電話株式会社
 出願日:2012年4月12日 登録日:2015年9月18日



 ※特許の本の紹介。
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プロキシサーバですべての通信データを取得することができない

 プロキシサーバは、端末とウェブサーバとを結ぶ通信路上に配置され、その通信路上のHTTP通信のデータを取得します。端末が必ずHTTP通信を行ってウェブサーバからデータを受信するのであれば、そのデータの全てがプロキシサーバに保存されます。この場合、端末の閲覧履歴を確認する場合には、プロキシサーバに保存されているデータを参照するだけで十分です。
 しかしながら、端末がウェブページを閲覧する方法は、上記のほかにもあり、プロキシサーバが取得できないことがあります。具体的には、端末が保持しているキャッシュから読み出す場合、端末がHTTPS通信によりウェブページのデータを取得する場合などがあります。

プロキシサーバが取得できないデータを端末から提供

 そこで、この発明のウェブ閲覧履歴取得システムは、端末で閲覧されたウェブページのデータをプロキシサーバにより取得不可能か否かを判定します。そして、取得不可能であると判定した場合、端末がこのデータをプロキシサーバに提供(送信)します。
 具体的には、プロキシサーバを経由しないで取得された場合(つまり、キャッシュから取得された場合)、及び、暗号化通信が使用された場合(つまりHTTPSプロトコルが使用された場合)があります。言い換えれば、端末が閲覧したウェブページのデータをプロキシサーバが取得できる場合には何もせず、取得できない場合には端末からプロキシサーバに送信してあげる、ということをします。
 これにより、キャッシュから取得したデータを含む全てのウェブページのデータが保存されます。

【課題】
利用者端末が低スペックな場合でも、利用者端末において、ウェブページに関する閲覧履歴を円滑に取得できるように、従来手法よりも閲覧履歴を示す閲覧データを保存するための処理量を低減し、保存データ量を軽減することができるウェブ閲覧履歴取得システムを提供する。
【請求項1】
 ウェブブラウザでウェブページを表示している際に、プロキシサーバを介してウェブページにアクセスしているか否か、及び前記プロキシサーバを介したウェブページへのアクセスの際の通信プロトコルの少なくとも一方に基づいて、前記ウェブページに関する閲覧履歴を示す閲覧データを前記プロキシサーバで取得可能か否かを判定する通信判定手段と、
 前記通信判定手段により前記閲覧データを前記プロキシサーバで取得不可能と判定された場合に、前記閲覧データを取得する端末・閲覧データ取得手段と、
 前記端末・閲覧データ取得手段により取得された前記閲覧データを、所定のタイミングで前記プロキシサーバへ送信するデータ送信手段と、を含む利用者端末と、
 自装置経由で前記ウェブブラウザに表示されたウェブページに関する前記閲覧データ、及び前記データ送信手段から送信された前記閲覧データを取得して、記憶手段に記憶するように制御する記憶制御手段を含む前記プロキシサーバと、
 を含むウェブ閲覧履歴取得システム。

今日のみどころ

 端末に多くの情報を保存しておけない前提があるとすると、外部の装置に端末の閲覧履歴を保存することを考えることになりますが、外部の装置では端末の全ての閲覧履歴を保存することができないという従来問題が壁になります。この壁を突破するための手法がこの発明です。
 解決方法は、プロキシサーバが取得できないデータをプロキシサーバに送ってあげるというとてもシンプルな方法です。課題設定が上手でとても良いと思います。