今回は、キャッシュカードやクレジットカードに関する特許を紹介します。
従来、磁気データが消失するとキャッシュカードやクレジットカードが使えなくなるという問題がありました。
この発明では、ATMに挿入されたキャッシュカードやクレジットカードの磁気データが消失している場合、ICチップのデータを利用して外部から修復データを受信して磁気ストライプに書き込みます。これによりATMで自動的に磁気データを修復できます。
磁気データが消失するとATMでキャッシュカードやクレジットカードが使えない問題
銀行などで使われるキャッシュカードや、買い物などのときに使われるクレジットカードなどには、磁気ストライプとICチップが搭載されています。磁気ストライプというのはカードの端から端まで延びる黒い帯状の部分で、ICチップというのは1cm四方くらいの金色の部分です。どちらもデータの読み取りに使います。
磁気ストライプは、スマホや携帯電話が発する電磁波や、日常さまざまな場所にあるマグネット(磁石)の影響で消失することがあります。
磁気ストライプのデータが消失するとATMでキャッシュカードやクレジットカードが利用できなくなるという問題があります。
このデータが消失してしまった場合、キャッシュカードやクレジットカードの再発行の手続きをとる必要があり、銀行などでの作業負担が増加したり、再発行までの間にキャッシュカードやクレジットカードを利用できないという不便さもでてきます。
ATMがICチップのデータを利用して外部から修復データを受信してキャッシュカードやクレジットカードを自動修復
この発明は、ICカードの磁気データを自動修復する方法に関する発明です。ATMに挿入されたICカードの磁気ストライプに記録された磁気データが破壊されていることがわかると、ICチップなどの情報を利用して自動的に正しい磁気データを磁気ストライプに書き込みます。
具体的には、まず、ATMに挿入されたICカードの磁気データを読み取る処理をします。ここで磁気データを読み取れない場合、ICチップのデータから本人認証データを読み取り、外部にあるコンピュータから修復のための修復データを受信します。そして、受信した修復データをICカードのチップに書き込みます。
外部にあるコンピュータは、キャッシュカードの場合には銀行のホストコンピュータで、クレジットカードの場合にはクレジットカード取扱会社のホストコンピュータです。
ICカードかどうかをユーザに判別されるために、操作画面にカードの外観デザインをユーザに見せて、ユーザからの指定を受けるという工夫もあります。
このようにすることで、セキュリティを担保しながら、正しい磁気データをICカードの磁気ストライプに書き込むことによって、ATMがキャッシュカードやクレジットカードを自動修復します。
特許第6292703号 日本エイ・ティー・エム株式会社
出願日:2017年10月12日 登録日:2018年2月23日
十分なセキュリティを担保した上でキャッシュカードを安全に自動的に修復することができるキャッシュカードの修復処理方法を提供する。
【請求項1】
自動取引装置に挿入されたカードの磁気データを読み、
この磁気データが読めないときは、
磁気データの修復が可能なICカードの名称もしくは外観を並べた案内画像をATMの操作画面に表示し、
利用者により挿入されたカードが、案内画像中のいずれかのカードと一致している旨の利用者の操作を検知したときに、読み取りヘッドを駆動してICカード中のICデータを読み取り、
読み取ったICデータを使用して利用者の本人認証データ取得処理を実行し、
本人認証データ取得処理が正常に終了したとき、読み取ったICデータから磁気データの修復を要求する修復要求コマンドを生成してホストコンピュータに送信し、
ホストコンピュータから修復データを受信したら、この修復データを上記カードの磁気ストライプに書き込むことを特徴とするATMによるICカードの磁気データ自動修復方法。
今日のみどころ
キャッシュカードやクレジットカードの磁気ストライプの磁気データをATMで自動修復する発明です。お金に関わることなので、本人でない人が不正に磁気データを受信できないようなセキュリティ面の工夫もされています。
これがあると、なにもしていないのにいきなりキャッシュカードやクレジットカードが使えなくなった!(怒)っていうユーザに、ATMで自動的にカードの修復をしてあげることができそうですね。理不尽に怒られることがなくなるといいですね。