【特許紹介】高熱であることが本人以外の他の人に知られないようにする特許発明(playground)を紹介

 今回は、体温測定結果の通知に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、高熱であることで他の人が不安を感じることがあるという問題があります。

 本発明では、入場時の体温が高温であることを本人の連絡先に通知します。これにより、来場者に不快な思いをさせることなく感染症の拡散を防止することができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

高熱であることで他の人が不安を感じることがある

 音楽ライブなどのイベント会場などに入場するときに来場者の認証などが行われます。その認証のときに体温の計測もされることがあります。

 特にここ数年は、新型コロナウィルス感染症の拡散防止のために利用されています。

 入場するために来場者が行列を作っているときに高熱と判定されてしまうと、本人以外の他の人にまで、そのことが分かってしまいます。

 すると、本人以外の他の人が不安を感じたり、その高熱と判定された人に危害を加えようとする人が現れる恐れがあるという問題があります。

入場時の体温が高温であることを本人の連絡先に通知


 この発明の入退場管理システムによれば、来場者に不快な思いをさせることなく感染症の拡散を防止することができます。

 入場者は、入場するときにチケット等を提示します。

 入退場管理システムは、提示されたチケットの情報を参照して入場者の入場の可否を判定します。そのときに入場者の体温の計測もします。

 次に、入場者の入場の判定のときに計測した体温に基づいて、入場者が高熱であるか否かを判定します。高熱であると判定した場合には、入場者の連絡先に通知をします。

 通知は、具体的には、正式な検温の実施を促す情報、速やかな退場を促す情報などを送信することでなされます。

 言い換えると、通知が、本人以外の他の人に見えない形で、本人にだけ通知されるということです。

 このようにすることで、高熱であることが本人以外の他の人に知られることを防ぐことができ、来場者に不快な思いをさせることなく感染症の拡散を防止することができます

 特許第6865321号 playground株式会社 出願日:2020年7月22日 登録日:2021年4月7日

【課題】
来場者に不快な思いをさせることなく、感染症の拡散を防止する。
【請求項1】
 対象空間に対して入場または退場しようとする対象人物によって提示された認証情報担体の保持する情報を参照して、前記対象人物の入場または退場の可否を判定する手段と、
 前記認証情報担体の提示時に計測された前記対象人物の体温の計測結果を参照して前記対象人物が高熱であるか否かを判定する手段と、
 前記対象人物が高熱であるか否かの判定結果に応じて、前記対象人物の連絡先に通知を送信する手段と
 を具備し、
 前記対象人物の連絡先に通知を送信する手段は、前記対象人物が高熱であると判定された場合に、前記対象人物に正式な検温の実施を促す情報、前記対象空間の検温所に関する情報、前記対象人物に速やかな退場を促す情報、前記対象人物が高熱であることを伝える情報、前記対象人物が感染症に罹患している疑いがあることを伝える情報、前記対象空間の出口に関する情報、および前記対象空間に関連付けられた医療機関に関する情報の少なくとも1 つを含む通知を前記対象人物の連絡先に送信する、
 入退場管理装置。

今日のみどころ

 イベント会場などで来場者の高熱を検知した場合に、その結果を、ほかの人に知られることなくどのように本人に通知するかというポイントの工夫です。

 高熱であることを検知するのは簡単ですが、どのように通知するかという観点は、確かに工夫の余地があると思いました。

 実際に利用したり、利用シーンを具体的に想定したりしてこそ、このような課題に直面するのかなと思います。