【特許紹介】デジタル通貨の生成とともに物理通貨の除去をする特許発明(VISA)を紹介

 今回は、暗号通貨に関するを紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、通貨システムを完全に暗号通貨に転換することは現実的ではないといわれています。

 本発明では、デジタル通貨の要求を受けると、デジタル通貨の生成についての検証をしてから、デジタル通貨の生成、生成の通知をするとともに、物理通貨の除去をします。このようにすることで、不換通貨(物理通貨)を暗号通貨に変換することに寄与します。



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通貨システムを完全に暗号通貨に転換することは現実的ではない

 仮想通貨などの暗号通貨(crypto currency)が利用されています。

 暗号通貨は、分散化されたノードによって実現されています。

 暗号通貨の取引には、パソコンやスマートフォンなどの電子デバイスの使用が必要であるので、通貨システム(不換通貨システム)を完全に暗号通貨に転換することは現実的ではないといわれています。

デジタル通貨の生成についての検証をしてから、デジタル通貨の生成、通知


 この発明のデジタル不換通貨に関する方法では、不換通貨を暗号通貨に変換することに寄与します。

 まず、デジタル通貨に対する要求を受けます。デジタル通貨の要求には、物理通貨の記番号(紙幣に印刷されているアルファベットと数字)と金額が含まれています。

 デジタル通貨に対する要求を受けると、その要求に含まれている金額のデジタル通貨を生成し、その分の物理通貨を除去します。デジタル通貨の生成にはブロックチェーンが使われます。

 また、そのデジタル通貨の生成の通知をし、その通知の送信前に、デジタル通貨の生成についての検証がなされます。

 言い換えると、デジタル通貨の要求を受けると、デジタル通貨の生成についての検証をしてから、デジタル通貨の生成、生成の通知をするとともに、物理通貨の除去をします。

 このようにすることで、不換通貨(物理通貨)を暗号通貨に変換することに寄与します。

 特許第6975364号 ビザ インターナショナル サービス アソシエーション
 出願日:2019年11月8日 登録日:2021年11月9日

【課題】
不換通貨を暗号通貨に変換することに寄与する。
【請求項1】
 コンピュータにより実行される方法であって、
 中央事業体コンピュータによって、デジタル通貨に対する要求を受信することであって、前記要求が、物理通貨の記番号および額面金額を含む、受信することと、
 前記中央事業体コンピュータによって、前記額面金額に対する、かつ前記記番号に紐付けられた前記デジタル通貨を生成することであって、前記生成することが、前記デジタル通貨をブロックチェーンに記録することを含む、生成することと、
 前記中央事業体コンピュータによって、前記デジタル通貨の前記生成の通知を送信することと、
 前記中央事業体コンピュータによって、不換通貨システム内の流通からの前記物理通貨の除去を引き起こすことと、を含み、
 前記デジタル通貨の前記生成の前記通知を送信する前に、前記ブロックチェーンに前記デジタル通貨を前記記録することが、複数の検証事業体によって検証される、コンピュータにより実行される方法。

今日のみどころ

 現実のお金(不換通貨、物理通貨)を暗号通貨(デジタル通貨、仮想通貨)に変換する方法で、デジタル通貨の生成についての検証をしてから、デジタル通貨の生成の通知をするという点がポイントになっていると思います。

 その前提として、デジタル通貨に、不換通貨の紙幣の記番号が対応付けられている点もポイントになっていると思います。

 物々交換、物品交換、貨幣や紙幣というような、お金の歴史(取引の歴史)を考えると、デジタル通貨というのが次の形なのだろうと思いますね。普通の人がデジタル通貨を普通に使うようになるのはいつごろになるでしょうね。