【特許紹介】HDRモードからSDRモードに切り替えて画像を出力して眩しさを低減させる特許発明(キヤノン)を紹介

 今回は、画像の表示に関するを紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、表示装置がHDRモードでメニュー画像を出力して表示させると眩しすぎる問題があります。

 本発明では、表示装置がHDRモードからSDRモードに切り替えてメニュー画像を出力して表示させます。これにより、HDRモードでメニュー画像を表示することを回避することができます。



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 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

HDRモードでメニュー画像を出力すると眩しすぎる問題

 快調分解能が高い表示モードであるHDR(High Dynamic Range)に対応している表示装置があります。

 HDRモードでは、非常に高い輝度で白色が表示されることがあります。

 コンピュータによって作られる画像(例えばメニュー画像)に含まれる白色がHDR表示される場合、その白色が非常に高い輝度で表示され、ユーザが眩しさを感じてしまうことがあるという問題があります。

HDRモードからSDRモードに切り替えてメニュー画像を出力


 この発明の電子機器(例えばデジタルカメラ)は、外部機器(例えばディスプレイ)に接続し、その外部機器に画像を出力します。そのときに出力される画像に含まれる白色が非常に高い輝度で表示されることを回避することができます。

 前提として、電子機器は、階調分解能が高い画像を出力する接続モード(第1接続モード)と、階調分解能が低い画像を出力する接続モード(第2接続モード)とで、外部機器に接続できます。

 第1接続モードの例がHDRモードで、第2接続モードの例がSDR(Standard Dynamic Range)です。

 そして、電子機器は、第2接続モードで接続しているときに、撮像画像を含まない画像に切り替える指示を受けると、出力モードを第2接続モードから第1接続モードに切り替えてから、第1接続モードで画像を出力します。

 「撮像画像を含まない画像」は、例えば、コンピュータによって作られるメニュー画像のような画像です。

 このようにすることで、撮像画像を含まない画像を第1接続モードで出力するようになり、言い換えれば、撮像画像を含まない画像を第2接続モードで出力することを回避することができます。

 これによって、ユーザが眩しさを感じることが低減されます。

 請求項1に対応する内容は、段落[0115]、図6のS623あたりに記載されていると思います。

 特許第6625113号 キヤノン株式会社
 出願日:2017年12月27日 登録日:2019年12月6日

【課題】
種々の画面を好適に表示可能にする技術を提供する。
【請求項1】
 外部機器と接続する接続手段と、
 前記外部機器との接続モードを、第1階調分解能以下の階調分解能を有する画像を出力する第1接続モードと、前記第1階調分解能よりも高い階調分解能を有する画像を出力する第2接続モードとを含む複数の接続モードの何れかに設定する設定手段と、
 前記第2接続モードでの接続がされている場合に、撮像手段で撮像された撮像画像を含む第1画面から、撮像画像を含まない第2画面に切り替える指示があると、設定されている接続モードを前記第2接続モードから前記第1接続モードに切り替えて前記第2画面を前記接続手段から出力するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする電子機器。

今日のみどころ

 デジタルカメラがHDRモードで画像を出力すると白色が眩しくなりすぎるという問題を解消すべく、SDRモードに切り替えて画像を出力するという、とてもシンプルな解決方法の特許です。

 当たり前と言えば当たり前ともいえるアイデアだとも言えると思いますが、技術的な詳細な処理を説明し、その技術の新規性や進歩性が認められれば特許を取ることができます。

 こういう技術で特許を取れると価値があると思いますね。