債務記録と失効情報を分散台帳に記録することで債務記録の情報を管理する特許発明(みずほ銀行)を紹介



 今回は、ブロックチェーンに関する特許を、特許公報を読みまくっている私から紹介します。

 従来、債務記録情報の正当性を確認することに課題があります。

 この発明では、債務記録情報を分散台帳に記録します。また、債務の支払いが完了したら失効情報を分散台帳に記録します。これにより、債務記録の情報を適切に管理することができます。



スポンサードリンク

債務記録情報の正当性を確認することの課題

 ブロックチェーンの技術が決済などに利用されています。ブロックチェーンは、取引の記録をチェーン上につないだ台帳です。その台帳のコピーが複数の装置で保有されていて、記録後にその記録内容を変更することができないように管理されています。

 ブロックチェーンが仮想通貨の取引に使われるときには、仮想通貨の取引の全履歴がブロックチェーンに記録されます。そのため、現在の残高を管理するためには大きな容量のデータベースが必要です。

 一方、債務者から債権者に対する支払いに関する情報、つまり、債務の記録の情報の正当性を確認することに課題がありました。

債務記録情報を分散台帳に記録、支払完了したら失効情報を分散台帳に記録


 この発明のシステム(支払支援システム)では、債務記録情報の正当性を確認できるようにします。

 具体的には、金融機関システムが、債務者(支払者)の端末にアプリケーションを送信します。このアプリケーションが債務者の端末で実行されると、アプリケーションが債務に関する情報(債務記録情報)を分散台帳に格納します。

 その後、債務者から債権者への支払処理が行われると、債務記録情報が失効したことを示す情報(失効情報)を分散台帳に記録します。

 債務記録情報や失効情報などは、紐付け情報という情報とともに分散台帳に格納されます。紐付け情報というのは、この取引に係る一連のトランザクションを取得するための識別情報です。

 これにより、債務記録情報の正当性を確認できるようになるので、債務者から債権者に対する支払いを支援することにつながります。

 特許第6363254号 株式会社みずほ銀行
 出願日:2017年5月2日 登録日:2018年7月6日

【課題】
分散型台帳技術を用いて、債務記録情報の正当性を確認できる基盤システムを利用して、効率的な支払を支援する。
【請求項1】
 支払人端末及び金融機関システムに接続され、分散型台帳技術により情報の正当性を確認できる基盤システムを利用して、債務者から債権者に対する支払を支援する支払支援システムであって、
 前記金融機関システムは、
 債務者の支払人端末から、前記債務者の認証情報を取得し、前記認証情報を用いた本人確認により、前記債務者の口座を特定し、
 前記金融機関システムの金融機関コードを含めた債務記録アプリケーションを前記支払人端末に送信し、
 債務者の支払人端末は、
 前記債務者から債権者に対する支払時には、前記債務記録アプリケーションにおいて、支払方式の選択情報を取得し、
 選択された支払方式の債務記録情報を、紐付け情報を含めて分散台帳に記録し、
 前記選択された支払方式に応じて、前記債務者の金融機関システムに前記債務記録情報の発行を、前記紐付け情報を含めて通知し、
 前記債務者の金融機関システムは、
 前記分散台帳を確認し、前記債務記録情報の承認情報を、前記紐付け情報を含めて前記分散台帳に記録し、
 前記支払方式に基づいて、前記債権者に対する支払処理を行ない、前記債務記録情報の失効情報を、前記紐付け情報を含めて前記分散台帳に記録することを特徴とする支払支援システム。

今日のみどころ

 ブロックチェーン系の技術は、難しく感じることがあります。でも実は、ブロックチェーンに格納される情報が新しい、とか、ブロックチェーンの使い方が新しいというだけで、ブロックチェーンそのものは従来と同じということがあります。よくあります。

 今回紹介した技術も、ブロックチェーンに格納される情報(債務記録情報、失効情報)が新しいですが、ブロックチェーンそのものは従来と同じだと考えられます。

 こういう感じでもちゃんと特許になります。ブロックチェーンに関しては、格納される情報が新しい、使い方が新しいという技術も、出願する価値がありそうです。