ビジネスモデル特許のネタ出しに使える方法/ビジネスモデル特許を取るまでの流れ

ビジネスモデル特許のネタ出しに使える方法/ビジネスモデル特許を取るまでの流れ
 会社や個人で行っているビジネスモデルを特許で守れるのでしょうか。ビジネスモデル特許というのを聞いたけどとってみたい。

 このような思いを持っている人からビジネスモデル特許を自分もとれるのかという問い合わせを受けることがあります。

 この記事では、ビジネスモデル特許をとるための考え方を説明します。どのような発想からビジネスモデル特許につなげていけるかについても説明します。

 私は特許事務所でクライアントの発明の特許をとるお手伝いをする仕事をしています。ビジネスモデル特許のお仕事も、普通の特許のお仕事と同じようにさせていただいて、特許査定もとれています。

 この記事を読めば、ビジネスモデル特許を取ることに一歩前進できます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

ビジネスモデル特許とは

 以前、ビジネスモデル特許と、ビジネスモデル特許ではない普通の特許の違いなどについて説明しました。

 上の記事では、ビジネスモデル特許が「ビジネスの方法を技術的なアイデアとして表現したものの特許」だということ、ビジネスモデル特許の書き方や手続きなどについて説明しました。

 今回は、ビジネスモデル特許をとるためにどのようなことを考えないといけないかを説明します。

 特許をとりたいビジネスモデルをもっている人も、まだもっていないなくてネタさがしから始めたい人も参考になる内容です。

ビジネスモデル特許のベースとなるビジネスモデルの整理

 ビジネスモデル特許を取るためには、まず、特許をとりたいビジネスモデルのベースになるビジネスモデルがどのようなものかを整理します。

 ベースになるビジネスモデルというのは、簡単にいえば、今までの普通のビジネスモデルがどうなっているかということです。

 例えば、先日紹介したオフィスグリコの特許発明では、富山の置き薬のビジネスモデルが、ベースになるビジネスモデルに当たります。

 すでに特許を取りたいビジネスモデルを持っている人は、そのビジネスモデルの中で従来なかったポイントを外して考えてみてください。

 特許をとりたいビジネスモデルがまだない人は既存のサービスから考えるのが手っ取り早いです。どんな分野でもよいのですが、既存のサービスから考える方法の一例を紹介します。

既存のサービスからビジネスモデル特許のネタ出しをする方法

 既存のサービスからビジネスモデル特許のネタを探すには、実際にそのようなサービスを利用して課題を探すのが近道です。

 ちかごろはインターネットを介した個人間の取引のサービスが広まっています。これを利用するのが一つの手です。

 インターネットを介した個人間の取引のサービスとして、たとえば個人間での物の売買として、ネットオークションやネット上のフリーマーケットのサービスがあります。その他、スキルや仕事の売買、移動手段や宿泊手段の貸し借り、駐車場の貸し借りというものまであります。あと、個人間の決済の手段の方法も便利なものがでています。

 このようなものを実際に利用して、不便だと思うところを見つけます。その不便さを裏返しに表現したものがが新しいビジネスモデル特許のネタになるところです。ともすると、不便なのが当たり前だと思ってしまうこともあるので注意が必要です。

 このとき実際に利用して考えるところが大切です。できれば複数利用しましょう。想像しているだけでは分からない不便さに、実際に利用して気づくことがあると思います。上記のサービスでもいろいろな改善を繰り返していると思いますが、利用者目線での課題はまだまだたくさんあると思います。

 不便さは、例えば、『この画面では商品の材質がわからない』、『この画面から商品の購入ができない』というようなものです。この不便さを裏返しに表現して、『この画面で商品の材質の情報が表示されればいいのに』『この画面で購入ボタンがあればいいのに』とすると、課題が見えてきます。

 このようなサービスはすでにコンピュータのソフトウェアを使って実現されているので、ビジネスモデル特許のベースにしやすいという利点もあります。

 ここではインターネットを介した個人間の取引のサービスを例としましたが、これはほんの一例で、もっともっといろいろなやりとりやサービスがビジネスモデル特許のベースになり得ます。

ビジネスモデル特許をとる課題とポイントの整理

 ベースとなるビジネスモデルが決まったら、ベースとなるビジネスモデルと、特許を取ろうとしている新しいビジネスモデルの異なる部分をはっきりさせます。このように対比させて説明できればわかりやすいです。

  • ベースとなるビジネスモデルでは○○していなかったけど、新しいビジネスモデルでは○○する
  • ベースとなるビジネスモデルでは□□していたけど、新しいビジネスモデルでは、□□の代わりに△△する

 例えば、先日紹介したオフィスグリコの特許発明では、商品のローテーションをする部分が、いままでのビジネスモデル(富山の置き薬のビジネスモデル)にはない、新しい部分に相当します。退避させる言い方だとこのようになります。

  • ベースとなるビジネスモデルでは商品のローテーションをしていなかったけど、新しいビジネスモデルでは商品のローテーションをする

 この新しい部分が、特許の審査でも新しいと認められれば(*1)特許査定に近づくことになります。

 もしできれば、その新しい部分がコンピュータの情報処理として記述できそうか考えてみましょう。オフィスグリコの特許発明では、商品のローテーションをする部分を、「商品ローテーション計画データ」というデータにして、このデータから「商品配置指示データ」を生成し、このデータを参照して販売員が配置するという流れになっています。

 この整理をするときには、課題から解決方法の順番で考えるのが通常ですが、反対に解決方法から課題を考えることもできます。とにかく新しいビジネスモデルをもっている場合には、その新しいポイントを除いたビジネスモデルを考えて、その除いたビジネスモデルではどんな問題があったか、を考えるというやり方になります。これもよくやる方法の1つです。

*1:特許をとるための要件の代表的なものに、新規性、進歩性などがあります。

ビジネスモデル特許の出願(申請)を弁理士/特許事務所へ依頼

 ベールとなるビジネスモデル、特許を取ろうとするビジネスモデル、そしてそれらの差がはっきりしたら、弁理士/特許事務所に協力を得ながら特許出願(特許申請)を行うのがオススメです。

 ビジネスモデル特許は、上記のとおり、「ビジネスの方法を技術的なアイデアとして表現したものの特許」なので、ただ単にビジネスの方法を記述しただけでは特許を取ることが難しいです。ビジネスの方法を技術的なアイデアとして表現するところが、慣れていないとなかなか難しいです。

 このような部分は、特許の専門家に任せるのが得策です。

 弁理士/特許事務所に協力を得て出願すれば、その流れで特許の審査に対する対応もお願いできると思います。ビジネスモデル特許の場合、単なる人為的な取り極めだから特許の保護対象とならないというような審査結果がくることもあると思います。このような審査結果が来ないように、また、来た場合に回避できるようにするには、弁理士/特許事務所の協力がある方がよいです。

 うまく特許査定に導いてくれる弁理士とのパイプがあれば、より一層、ビジネスモデル特許の取得につながります。

今日のみどころ

 ビジネスモデル特許のネタ出しに使える方法を紹介しました。アイデアがあればビジネスモデル特許もとりやすいと思います。とりあえず手を動かしてやってみましょう!

 なお、当サイトで紹介している特許で、ビジネスモデル特許だと私が思うものには「ビジネスモデル」タグをつけています。例えば以下の記事で紹介しています。ご参考に。

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