【特許紹介】他のサービスでの不正ユーザの情報を用いて不正ユーザであるか否かを判定する特許発明(楽天)を紹介

 今回は、インターネットのサービスに関するを紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、過去の不正なユーザに類似しないユーザを検知することができないという問題があります。

 本発明では、これにより、他のサービスでの不正ユーザの情報を用いて不正ユーザであるか否かを判定します。これにより、新規ユーザが不正であるかを推定する精度を高めることができます。。



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 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

過去の不正なユーザに類似しないユーザを検知することができない

 インターネットで提供されるサービスで、ユーザの不正を推定する技術があります。

 例えば、あるサービスで不正と判断されたユーザをブラックリストに登録しておき、新規ユーザの登録の際には、その新規ユーザのウェブサイトの閲覧履歴と、ブラックリストに登録されたユーザのウェブサイトの閲覧履歴とを比較して、新規ユーザの信用度を推定する技術があります。

 しかしながら、上記技術では、ブラックリストに登録されたユーザと類似しないユーザを検出することができないという問題があります。

他のサービスでの不正ユーザの情報を用いて不正ユーザであるか否かを判定


 この発明のシステム(不正推定システム)は、新規ユーザが不正であるかを推定する精度を高めることができます。

 具体的には、新規ユーザが登録されるサービス(「一のサービス」と記載)と、上記サービスとは異なるサービス(「他のサービス」と記載)との関連性に関する情報を取得します。関連性情報は、具体的には、サービス同士の関連の高さを示す情報です。

 次に、一のサービスに新規登録しようとするユーザ(「対象ユーザ」と記載)のユーザ情報と、他のサービスに登録されているユーザのユーザ情報とを比較します。ユーザ情報は、例えば、ユーザが保有するカードの番号などです。

 そして、一のサービスと他のサービスとの関連を示す関連性情報と、比較結果とに基づいて、一のサービスに新規登録しようとするユーザの不正を推定します。

 このようにすることで、新規ユーザが不正であるかを推定する精度を高めることができ、過去の不正なユーザと類似しないユーザを検出することができるようになります。

 特許第6813711号 楽天株式会社
 出願日:2019年6月26日 登録日:2020年12月21日

【課題】
 不正ユーザの推定精度を高めることが可能な不正推定システム、不正推定方法、及びプログラムを提供する

【請求項1】
 一のサービスと他のサービスとの関連性に関する関連性情報を取得する関連性情報取得手段と、
 前記一のサービスにおける対象ユーザのユーザ情報と、前記他のサービスにおける不正ユーザ又は正当ユーザのユーザ情報と、の比較結果を取得する比較結果取得手段と、
 前記関連性情報と前記比較結果とに基づいて、前記対象ユーザの不正を推定する推定手段と、
 を含むことを特徴とする不正推定システム。

今日のみどころ

 インターネットで受けるサービスにおいて、不正ユーザを検出する技術です。ポイントは、他のサービスで不正と判定されたユーザの情報と類似したユーザを、別のサービスで不正と判定する点などがあると思います。

 請求項1の記載がとてもシンプルなのは良い点だと思うのですが、かなり広い技術範囲になっているよウニ思います。特に、この特許で一番大事と思われる「前記関連性情報と前記比較結果とに基づいて、前記対象ユーザの不正を推定する」のところの「基づいて」は、すごく広いと思います。若干あいまいであるとも思います。

 審査官の判断に依存する部分も多いのですが、すごくシンプルな特許でとてもよいと思います。