今回は、テープに文字などを印字する印字装置(例えばテプラ)に関する特許発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、テープに印刷されるキャラクター画像のサイズをユーザが選択できない問題があります。
この発明では、印字されるテープの幅を超えない最大サイズを超えるサイズを選択不能とします。これにより、キャラクター画像のサイズがテープの幅を超えない範囲でユーザに選択可能とすることができます。
テープに印刷されるキャラクター画像のサイズをユーザが選択できない問題
ラベルに字を印字(印刷)する印字装置があります。一例として「テプラ」という製品が有名です。
従来の印字装置では、印字エリアに印字可能な最大の文字サイズを自動的に設定することができます。
しかし、テープに印刷されるキャラクター画像のサイズを、従来と同様に最大サイズに自動的に設定してしまうと、ユーザに選択させることができないという問題があります。
印字されるテープの幅を超えない最大サイズを超えるサイズを選択不能とする
この発明の装置では、キャラクター画像のサイズをユーザに選択可能とします。キャラクター画像のサイズは、ユーザがスマホのような端末でキャラクター画像のサイズを選ぶことによってなされます。
具体的には、キャラクター画像のサイズの選択肢のうち、キャラクター画像が印字されるテープの幅を超えない最大サイズを設定します。
次に、スマホでユーザにサイズを選択させるときに、その最大サイズを超えるサイズを、ユーザによって選択できないようにします。
これにより、キャラクター画像のサイズがテープの幅を超えない範囲でユーザに選択可能とすることができます。
特許第6434875号 セイコーエプソン株式会社、株式会社キングジム
出願日:2015年8月11日 登録日:2018年11月16日
テープからはみ出さない範囲でキャラクター画像のサイズをユーザーに選択させることができる情報処理装置、情報処理装置における選択肢設定方法およびプログラムを提供する。
【請求項1】
キャラクター画像が印刷されるテープの幅寸法を取得する幅寸法取得部と、
前記キャラクター画像のサイズを選択させるための複数の選択肢のうち、選択可能な最大の前記選択肢である最大選択肢を、前記キャラクター画像が前記テープからはみ出さないように、取得された前記幅寸法に応じて設定する選択肢設定部と、を備え、
複数の前記選択肢のうち、前記最大選択肢を超える選択肢を、選択不能とすることを特徴とする情報処理装置。
今日のみどころ
テプラに印字するときに、テープからはみ出さないようにしながら、ユーザが文字サイズを選択できるようにします。請求項1を読むと、当たり前のような処理が書かれていると思いますが、これで特許がとれるとはすごいと思います。
あと、請求項1の最後の「最大選択肢を超える選択肢を選択不能とする」という部分は、補正で追加されたのですが、同じ記載は明細書内にはありません。補正の根拠は「最大選択肢を超えるポイント数を表示しない」(段落[0057])という部分です。
請求項1の記載を、明細書より広い技術を含む記載にする方が有利ですが、広げすぎる補正は許容されません。その辺のさじ加減の参考になりそうです。これくらいの違い(上位概念化)が許容されるということがわかります。