重要度が高い帯域制御ルールを優先的に使う帯域制御装置の発明 NEC通信システム

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 この発明の帯域制御装置(パケットシェーパ)では、運用ルールテーブルと待機ルールテーブルとの2つを有し、重要度が低い一時的に使用しないルールを待機ルールテーブルに移し、運用ルールテーブルにある重要度が高いルールを優先的に帯域制御に使用します。

 これにより、大量の帯域制御ルールを効率よく用いて帯域制御をすることができます。

 特許第5900943号 日本電気通信システム株式会社
 出願日:2010年9月8日 登録日:2016年3月18日

ルールテーブルの上限数に達すると新たなルールを記憶できない

 インターネットなどのネットワークを通じて、パソコンやスマホが動画や音声などの大容量のデータをやりとりするようになっています。ネットワークを流れるデータ量が増大したことにより、通信パケットのパケットロスや通信遅延が問題になっています。

 基幹ネットワークの入口のルータなどでは、パソコンやスマホから基幹ネットワークへ流入する通信パケットの量が一定以上にならないようにする帯域制御(パケットシェーピング)が行われています。帯域制御には、例えば送信元又は宛先のIPアドレス、ポート番号、その他詳細情報を定めたルールが用いられ、このルールに適合する通信パケットに対して帯域制御がかけられます。大量の通信パケットに含まれる詳細情報を識別してルールに適合するか否かを判定するために、例えばDPI技術が活用されます。

 ルータなどの帯域制御装置(パケットシェーパ)が記憶することができるルールは有限数であり、最大数までルールを記憶した状態からさらに新しいルールを記憶しようとするときには、記憶しているルールを集約する、記憶しているルールを削除する、などの方策がありますが、それぞれ問題があります。

重要度が比較的低いルールを待機テーブルに一時保存

 この発明の帯域制御装置は、ルールを格納するルールテーブルとして、運用ルールテーブルと待機ルールテーブルとの2つを有しています。実際に通信パケットに適用されるのが運用ルールテーブルで、一時的に使用しないルールを保有しておくのが待機テーブルです。

 運用ルールテーブルにルールを追加しようとする場合、運用ルールテーブルに格納されたルールの個数が最大であると、運用ルールテーブルの中で重要度が低い(ヒット率が低いなど)ルールを待機ルールテーブルに移します。そして空きができた運用テーブルに新たなルールを追加します。

 このようにすることで、運用ルールテーブルにある重要度が高いルールを優先的に帯域制御に使用しながら、新しいルールを追加して帯域制御を行うことができるという効果が得られます。

 (用語)
DPI(Deep Packet Inspection)技術:コンピュータネットワークのパケットフィルタリングの一種で、パケットのデータ部(と場合によってはヘッダ部)を検査すること。

【課題】
帯域制御ルールテーブルにおいて相対的に使用頻度が高い帯域制御ルールを配置して帯域制御を行うことができる帯域制御システムなどを提供する。
【請求項1】
 有限数の帯域制御ルールが登録される帯域制御ルールテーブルにおいて、相対的に使用頻度が高い帯域制御ルールを配置して帯域制御を行う帯域制御装置を含む帯域制御システムであって、
 前記帯域制御装置は、予め設定されかつ帯域制御ルールを生成するフローの条件であるポリシを保持する保持手段と、前記フローが前記ポリシの条件を満たす場合、前記フローを特定する情報を通知する検査手段とを有し、
 前記帯域制御装置は、前記帯域制御ルールテーブルとして、前記帯域制御ルールを登録する運用ルールテーブル及び前記運用ルールテーブルから一時的に退避する帯域制御ルールを登録する待機ルールテーブルを設け、通信パケットに対して前記運用ルールテーブルに登録した帯域制御ルールを適用して帯域制御を実施し、
 前記帯域制御装置は、前記通知されたフローを特定する情報から前記帯域制御ルールを生成して前記帯域制御ルールを運用ルールテーブルに追加する手段と、前記帯域制御ルール各々の重要度を計測する手段と、前記運用ルールテーブルが最大数である状態でさらに前記帯域制御ルールの追加が必要になった場合に前記運用ルールテーブルの中で前記重要度が低い帯域制御ルールを前記待機ルールテーブルへ移動して前記運用ルールテーブルに新たなルールを追加する手段とを含むことを特徴とする帯域制御システム。

今日のみどころ

 基幹ネットワークの入口に配置される帯域制御装置は、その通信量が膨大であることから、帯域制御を実現する技術も特有のものになるようです。このような特徴的な装置の課題をしっかり把握して、その装置ならではの解決策を考えると特許になりやすいと考えられます。

 このように、ライバルが少ないところで特許を狙うという戦略は有効です。ビジネス一般に共通する考え方でもあると思います。すばらしい。