【特許紹介】ペンタブレットの電子ペン本体に電力供給する構造の特許発明(ワコム)を紹介

 今回は、ペンタブレットの電子ペンの構造に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、ペンタブレットの電子ペン本体部に筐体から電力供給する手段が問題になります。

 本発明では、電子ペンの後端部に端子を有し、筐体から電力供給を受けるように構成されています。これにより、電子ペン本体部は、筐体との電気的接続を確保し、適切に電力を供給されることができます。



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ペンタブレットの電子ペン本体部に筐体から電力供給する手段が問題

 ペンタブレットの操作に用いる、静電容量方式の電子ペンがあります。

 また、このような電子ペンにおいて、内部構成部品をモジュール化して交換可能とするものがあります。

 その場合、筐体内の電子ペン本体部の信号発生回路に電力を供給する手段が問題になります。また、ノック式などで、電子ペン本体部が筐体内を移動するように構成されている場合、電子ペン本体部と筐体とを電気的に接続する手段が問題になります。

電子ペンの後端部に端子を有し、筐体から電力供給を受ける



 この発明の電子ペン(電子ペン本体部)は、筐体との電気的接続を確保し、適切に電力を供給されることができます。

 前提として、電子ペン本体部は、筐体内部で筐体の軸心方向に移動可能になっています。

 また、電子ペン本体部は、信号発生回路を備えています。信号発生回路によって発生させる信号を外部に送出します。この信号を外部機器が受信することで、電子ペンの位置情報が取得されます。

 そして、電子ペンの本体部の後端部(ペン先と反対側の端部)に端子があり、この端子が、筐体のコネクタに結合されます。

 これにより、筐体内を移動可能な電子ペン本体に、端子とコネクタを通じて筐体から電力を供給することができます。

 なお、別の形態の例として、電子ペン本体部の端子が、オーディオのピンジャックになっている形態が記載されています(図8)。

 また、従来の3色ボールペンのようなやり方で、1つの筐体内に複数の電子ペン本体部を収納し、そのうちの1本を選択して使用する形態も記載されています(図9)。

 特許第6865907号 株式会社ワコム
 出願日:2020年9月1日 登録日:2021年4月8日

【課題】
 外部から電子ペン本体部への充電をどのようにして行うか。
 電子ペン本体部が電子ペンの筐体内で軸心方向に移動する場合において、電子ペン本体部と電子ペンの筐体に設けられる電子回路部品との電気的な接続をどのようにするか。
【請求項1】
 軸心方向の一端側であるペン先側が開口とされている電子ペンの筐体内に設けられる嵌合部に嵌合され、前記嵌合部を前記筐体の軸心方向に移動させる移動機構により、前記筐体の中空部内で移動可能とされる状態で収納される電子ペン本体部であって、
 前記移動機構により移動されることで、前記開口を通じて外部に突出可能とされる導電性の芯体を備えるペン先部と、
 軸心方向の前記ペン先側に前記ペン先部が結合され、前記芯体を通じて外部に送出する信号を発生する信号発生回路を含む電子回路を収納する本体筒状部と、
 軸心方向において前記本体筒状部の前記ペン先部とは反対側の後端部に設けられ、前記電子回路に接続されている端子を具備すると共に、前記筐体の前記嵌合部に設けられる結合用コネクタに結合される後端部コネクタと、
 を備えることを特徴とする電子ペン本体部。

今日のみどころ

 ペンタブレットを操作する電子ペンの発明で、筐体内に配置される電子ペン本体部が、電力を供給されるための端子をもつことを特徴とする発明です。

 ペンタブレットは、特に、パソコンでグラフィックを扱う場合に特に重宝しますよね。ペンタブレットのユーザは、パソコンのユーザ全体から見ればそれほど多くはないと思いますが、必要とするユーザにとってはなくてはならないものになっています。

 こういう製品も、特許をとって、アイデアを守りながら進化していってほしいと思います。