【特許紹介】商店街などに滞在している人の人数をより正確に推定する特許発明(NEC)を紹介

 今回は、カメラで撮影した画像から人数を推定する技術に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、出入口が複数存在する領域の正確な人数を計数できないという問題があります。

 本発明では、撮影した画像から算出する歩行時間比率を用いて商店街等全体に滞在している人の人数を算出します。このようにすることで、商店街等に存在する人の人数をより正確に計数することができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

出入口が複数存在する領域の正確な人数を計数できない

 商店街やイベント会場など(対象領域)の人数を計数する技術があります。従来の技術では、固定カメラで撮影した画像から人数を計数することができます。

 しかしながら、従来の技術では、対象領域に出入口が複数存在する場合に正確な人数を計数することができないという問題があります。

 また、例えば対象領域としての商店街にいる人の人数を計数する場合に、商店街の店舗に入っている人の人数を計数することができないという問題があります。

撮影した画像から算出する歩行時間比率を用いて商店街等全体に滞在している人の人数を算出


 この発明のシステム(計数システム)では、対象の領域に存在する人の人数を、より正確に計数することができます。

 まず、カメラによって対象領域の一部の領域(撮影領域)を撮影した画像から、その画像に映っている人の人数を計数します。

 例えば、対象領域は、店舗がある商店街で人が歩行する通路であり、撮影領域は、その店舗です。

 次に、撮影領域(例えば店舗)内に人が滞在している時間を計測します。

 具体的には、撮影した画像から、人が対象領域に滞在している時間と、人が撮影領域に滞在している時間を算出します。さらに、これらの時間の比率である歩行時間比率を算出します。

 そして、人物の検出結果と滞在時間とから、対象領域(例えば商店街)に存在する人の人数を算出します。

 具体的には、人が対象領域に滞在している時間に歩行時間比率をかけることで人の歩行時間を算出し、また、対象領域に存在する人の延べ人数を、人の歩行速度などから算出し、これらを用いて、対象領域にいる人の人数を算出します。

 ここではだいぶ説明をはしょっているのでわかりにくいですが、明細書の段落0024~0034で具体的に説明されています。

 このようにして、計数システムは、対象領域に存在する人の人数をより正確に計数することができます。

 特許第6867612号 日本電気株式会社
 出願日:2019年12月19日 登録日:2021年4月13日

【課題】
人物のプライバシーの問題とコスト増加の問題を抑制しつつ、対象領域に存在する人物のより正確な人数を計数する。
【請求項1】
 対象領域内の一部の領域である撮影領域を撮影した撮影画像を取得する画像取得手段と、
 前記撮影画像から前記撮影領域に存在する人物を検出する検出手段と、
 前記人物の検出結果に基づいて、前記撮影領域内に前記人物が滞在する時間である滞在時間を計測する計測手段と、
 前記人物の検出結果と前記滞在時間とに基づいて、前記対象領域内に存在する前記人物の人数を算出する算出手段と、
を備え、
 前記画像取得手段は、前記撮影画像として、前記撮影領域内の前記人物が歩行する領域を撮影した歩行領域画像と、前記撮影領域内に存在する予め設定された特定領域を撮影した特定領域画像と、を取得し、
 前記検出手段は、前記歩行領域画像から前記人物を検出すると共に、前記特定領域画像から前記人物を検出し、
 前記計測手段は、前記滞在時間として、前記撮影領域内に前記人物が滞在する時間である撮影領域滞在時間と、前記特定領域内に前記人物が滞在する時間である特定領域滞在時間と、を計測すると共に、前記歩行領域画像からの前記人物の検出結果に基づいて前記撮影領域滞在時間を計測し、前記特定領域画像からの前記人物の検出結果に基づいて、当該特定領域内に前記人物が入ることで前記特定領域画像から前記人物が消えた時刻と、その後、前記特定領域内から前記人物が出ることで前記特定領域画像に前記人物が現れた時刻と、の差分である前記特定領域滞在時間を計測する、
計数システム。

今日のみどころ

 商店街を撮影した画像から、商店街に滞在している人の人数を推定することができます。商店街の店舗内に入っている人も含めて、ある程度の精度で人数を推定することができます。

 請求項の文言だけだとなかなかわかりにくいですが、理解したい人は、明細書の記載を参考にするとよいと思います。

 厳密に正確な人数を計数するのではなく、カメラで撮影した画像からの限られた情報から大体の傾向を推定するという考え方です。推定の仕方などの勉強にもなります。