【特許紹介】車載器から路側アンテナへの電波強度の変化から渋滞を検出する特許発明(NEC)を紹介

 今回は、渋滞検出システムについての発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、渋滞の検出に長い時間がかかったり、渋滞を誤検出したりするという問題があります。

 この発明では、車載器から路側アンテナへの電波強度の変化から渋滞を検出します。これにより、渋滞の発生を検出する時間を短縮し、また、誤検出を防止することができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

渋滞の検出に長い時間がかかる問題、誤検出する問題

 道路の渋滞を検出するシステムがあります。

 従来の検出システムでは、車両の車載器の固有のIDを用いて渋滞を検出します。

 従来の検出システムでは、渋滞の検出までに多大の時間を要するなどの問題がありました。また、車両の検出がうまくいかないときに渋滞が発生したと検出してしまう(誤検出する)という問題がありました。

車載器から路側アンテナへの電波強度の変化から渋滞を検出


 この発明の渋滞検出システムでは、渋滞の発生を検出する時間を短縮し、また、誤検出を防止することができます。

 渋滞検出システムでは、道路に設けられたアンテナ(路側アンテナ)によって、車両の車載器が送信した電波の受信信号強度(RSSI)を繰り返し取得します。

 そして、取得したRSSIの変化に基づいて車両の平均速度を算出します。

 例えば、車両がだんだんと路側アンテナに近づいてくると、取得するRSSIが徐々に大きくなります。このRSSIの変化から車両の速度を算出することができます。

 算出した車両の平均速度に基づいて渋滞の発生を判定します。具体的には、平均速度が閾値以下だった場合に、渋滞が発生したと判定します。

 このようにして、渋滞の発生を検出する時間を短縮し、また、誤検出を防止することができます。

 特許第6244625号 日本電気株式会社
 出願日:2012年12月19日 登録日:2017年11月24日

【課題】
渋滞末尾事象の発生を検出する時間を短縮すると共に、シャドーイング等に起因した渋滞末尾事象の発生誤検出を防止する。
【請求項1】
 道路の所定区間に設けられた路側アンテナ装置を介して、前記所定区間内の車両の車載器が前記路側アンテナ装置と通信したときの前記車載器におけるRSSI値を、前記車載器から繰り返し取得する手段と、
 前記RSSI値の変化に基づいて前記車両の平均速度を算出する手段と、
 前記平均速度に基づいて渋滞発生と判定する手段と
 を備える渋滞検出システム。

今日のみどころ

 道路の渋滞を検出するシステムで、車載器から路側アンテナへの電波の強度によって得られる車両の速度の変化から渋滞を検出するアイデアです。

 請求項1がとても短く、記載のシンプルで、広い権利範囲を確保できていると思います。ただ、平均速度の算出や、渋滞発生の判定の「基づいて」という表現は、不明確ではないのかなと思います。

 上手に権利化できていると思います。