【特許紹介】見通し外の通信の伝搬経路でビームアラインメントを実行する特許発明(トヨタ)を紹介

 今回は、車両間のミリ波通信に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、車両間のミリ波通信がトラックやバスなどによって遮蔽されてしまうという問題があります。

 この発明では、見通し外の通信(NLOS通信)の伝搬経路でビームが強ければビームアラインメントを実行します。これにより、NLOS経路でのビームアラインメントを行うことができ、ミリ波通信の接続を維持することができます。



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車両間のミリ波通信がトラックやバスなどによって遮蔽されてしまう

 車両(自動車)間の通信が利用されるようになってきています。車両間の通信には、ミリ波(周波数が30GHz~300GHzの電波)が使われます。

 ミリ波の通信では、ビームアラインメントが必要とされています。ビームアラインメントは、送受信するビームの方向を調整することです。

 車両が走行しているときにミリ波通信をしようとすると、トラックやバスなどの他の車両によってミリ波が遮蔽されてしまい、通信が妨害されてしまうという問題があります。

見通し外のNLOS通信の伝搬経路でビームが強ければビームアラインメントを実行


 この発明の車両間ミリ波通信の方法では、ミリ波接続を維持することに貢献します。

 ここでは、通信をする2つの車両を「第一の車両」と「第二の車両」といいます。

 まず、第一の車両が、車両データとセンサデータを受信します。車両データは、第二の車両の位置を示すデータです。センサデータは、遮蔽物の表面材質などを示すデータです。

 次に、第一の車両と第二の車両とがNLOS通信(見通し外のミリ波通信)を行うための伝搬経路を生成します。例えば、第一の車両と第二の車両との間に遮蔽物が存在する場合に、建物などの反射物によってミリ波が反射されることを利用して、遮蔽物を迂回する経路が生成されます。

 その伝搬経路でのビーム到達率を計測し、ビーム到達率が閾値を超えるか否かを判定します。

 ビーム到達率が閾値を超える場合には、その伝搬経路を使ってビームアラインメントを行います。

 このようにして、NLOS経路でのビームアラインメントを行うことができます

 特許第6677327号 トヨタ自動車株式会社
 出願日:2019年1月31日 登録日:2020年3月17日

【課題】
見通し外(NLOS)シナリオでの車両間ミリ波通信のための方法を提供する。
【請求項1】
 ミリ波通信を行う複数の車両間におけるビームアライメントを実行する方法であって、
 第一の車両が、第二の車両の位置を表す車両データを含む無線メッセージを受信する受信ステップと、
 センサデータを取得する取得ステップと、
 前記車両データおよび前記センサデータに基づいて、前記第一の車両と前記第二の車両が見通し範囲外においてミリ波無線通信を行うための伝播経路であるNLOS経路を生成する経路生成ステップと、
 ビーム到達率が閾値を満たしたか否かに基づいて、前記NLOS経路が成立するか否かを判定する判定ステップと、
 前記NLOS経路が成立する場合に、前記NLOS経路によって、前記第一の車両と前記第二の車両との間のビームアライメントを実行する調整ステップと、
 を含む方法。

今日のみどころ

 自動車同士の無線通信をするときに、建物などの反射を利用することで、見通しがない相手と通信できるようにビームの調整をする発明です。

 無線通信にはそれぞれ周波数が割り当てられるのですが、最近の新しい通信規格では、高い周波数を使うようになってきています。このような高い周波数の電波は、まっすぐ進む性質が高いので、相手との間に物が存在していると、相手に電波が届かず、通信できなくなってしまいます。それを解決する方法の1つです。

 電波の物理的な性質に起因する問題を解決する発明は面白いと思います。