【特許紹介】LED照明の無線通信の間隔をできるだけ長くする特許発明(MOYAI)を紹介

 今回は、蛍光灯ソケットに取り付けるLED照明についての発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、蛍光灯ソケットに取り付けるセンサ付きLED照明システムのコストが増大するという問題があります。

 この発明では、LED照明が解析サーバに情報送信する間隔をできるだけ長くします。これにより、設備コストを抑えながら、適格に、かつ、遅延なく、画像の解析結果を報知することができます。



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蛍光灯ソケットに取り付けるセンサ付きLED照明システムのコストが増大

 蛍光灯の既存の電源部分(いわゆる器具の部分)を利用したLED照明が利用されています。

 このようなLED照明は、蛍光灯の器具から供給される交流電流を直流電流に変換するとともに、電気配線を変更して、LED素子に電力を供給します。このようにしてLED素子を発光させます。

 従来、LED照明装置にカメラなどを搭載して、カメラで撮影した画像から異常を検知する技術があります。

 しかし、リアルタイムで画像を解析するには、解析サーバの設備コスト、画像を送信する通信回線のコストが増大してしまうという問題があります。

LED照明が解析サーバに情報送信する間隔をできるだけ長くする


 この発明のLED照明システムでは、設備コストを抑えながら、適格に、かつ、遅延なく、画像の解析結果を報知することができます。

 具体的には、この発明のLED照明装置は、蛍光灯のソケットに取り付け可能に構成されています。

 LED照明装置は、周囲の外部情報をリアルタイムで取得し、取得した外部情報を間欠的に無線通信で解析サーバに送信します。

 解析サーバは、送信された外部情報を解析して、報知が必要な場合には報知をします。例えば、電車の車内での痴漢、窃盗、体調不良などが以上として検知された場合に報知をします。

 ここで、LED照明装置が解析サーバに外部情報を送信する間隔は、解析サーバが報知情報を生成することができる範囲のうちのできるだけ長い時間間隔を空けることがポイントです。

 このようにすることで、送信データ量をできるだけ抑えながら、外部情報の解析をすることができます。

 特許第6654767号 株式会社MOYAI
 出願日:2019年1月7日 登録日:2020年2月4日

【課題】
複数のLED照明装置が取得した外部情報を、設備コストを抑えつつ、適格、かつ、遅れることなく外部情報の解析結果を報知することができるLED照明システムを提供することを目的とする。
【請求項1】
 LEDが組み込まれた照明部と、該照明部の周りの外部情報をリアルタイムで取得する外部情報取得部、および、該外部情報取得部によってリアルタイムで取得された前記外部情報と同一時間軸で報知したい情報の解析に必要な時間間隔をあけて間欠的に前記外部情報を装置識別情報とともに送信するように無線通信部を制御する間欠送信制御部を備えた機能部と、を有し、蛍光灯の両ソケットに取り付け可能な複数のLED照明装置と、
 前記複数のLED照明装置と通信可能に接続され、前記無線通信部から間欠的に送信された前記外部情報を前記装置識別情報とともに受信し、該受信した前記外部情報の時間経過における変化を解析することによって前記複数のLED照明装置の各装置に対応した報知情報を生成する解析サーバーと、
 前記解析サーバーと通信可能に接続され、前記解析サーバーから送信された前記複数のLED照明装置の各装置に対応した前記報知情報を受信し、各装置に対応した前記報知情報を報知する報知部と、
 を有し、
 前記間欠送信制御部は、
 前記解析サーバーによって前記報知情報を生成することができる範囲のできるだけ長い時間間隔をあけて間欠的に前記外部情報を送信するように前記無線通信部を制御する
 ことを特徴とすることを特徴とするLED照明システム。

今日のみどころ

 蛍光灯の器具にそのまま取り付けることができるLED照明があります。LED照明が直流で動作することを生かして、LED照明にセンサや通信器などを搭載する場合に、通信の頻度をなるべく抑えるというのが発明のポイントです。

 請求項1の記載が短く、ポイントはシンプルだと思います。「~範囲のできるだけ長い時間間隔」という表現が、ちょっと不明確な気もします。このへんが、明確か不明確かの微妙なラインなんだと思います。勉強になります。

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