今回は、無線マルチホップネットワークに関するを紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、無線マルチホップネットワークの孤立ノードがデータを親ノードに送信できない問題があります。
この発明では、ノードの隣接ノードがなくなったら、傍受した信号の送信元を親ノードとしてデータを送信します。これにより、ノードが孤立した場合でも、特別な処理をすることなくデータを親ノードに送信することができるようにします。
無線マルチホップネットワークの孤立ノードがデータを親ノードに送信できない問題
端末同士の無線通信によってネットワークを構築する技術があります。このようなネットワークをマルチホップ無線通信システムともいいます。
マルチホップ無線通信システムでは、端末(ノード)が移動することで、他のノードと通信できなくなってしまうノードが発生してしまうことがあります。
他のノードと通信できなくなってしまうと、ノードが取得したデータ(例えばセンサデータ)を他のノードに送信できなくなってしまうという問題があります。
隣接ノードがなくなったら、傍受した信号の送信元を親ノードとしてデータを送信
この発明の無線通信装置は、ノードが孤立した場合でも、特別な処理をすることなくデータを親ノードに送信することができるようにします。ここで、ノードは、センサが取得したデータを親ノードに送信するものとします。
無線通信装置は、他のノードが送信する経路制御信号を受信することができます。そして、経路制御信号を受信するかどうかに応じて、自ノードが孤立ノードであるかどうかを判定します。
例えば、自ノードの隣接ノード数を計数するようにしておき、隣接ノード数がゼロになると、自ノードが孤立ノードであると判定します。
自ノードが孤立ノードであると判定した場合、他のノードが送信する信号を傍受するモードにします。傍受とは、自ノード宛でない信号(つまり、他ノード宛の信号)も受信することです。
そして、傍受できた信号の送信元に基づいて親ノードを決定します。
親ノードを決定したら、親ノードに向けて信号を送信すると考えられます。
このようにすることで、ノードが孤立した場合でも、孤立ノード用の制御パケットを用いるなどの特別な処理をすることなく、孤立ノードがデータを送信することができるようになります。
特許第6658828号 沖電気工業株式会社
出願日:2018年9月10日 登録日:2020年2月10日
孤立ノード用の制御パケットや伝送時間を設けるなどのネットワークへの負担を必要としないで、孤立ノードがデータを送信することができる無線通信装置、無線通信プログラム及び無線通信方法を提供する。
【請求項1】
アプリケーションレイヤの情報は暗号化され、ネットワークレイア以下のレイヤ情報は暗号化されていない通信信号を、基地局に向けて、マルチホップで無線通信するマルチホップ無線通信システムの各ノードの無線通信装置であって、
無線受信手段と、
予め定められた経路構築期間内で受信した経路制御信号に含まれる情報に基づいて経路表を作成し、親ノードを決定して無線通信処理を行なうネットワーク管理手段と、
上記ネットワーク管理手段により決定された親ノード宛の上記通信信号を送信する無線送信手段と、
上記経路構築期間内で上記経路制御信号の受信の有無に応じて、自ノードが孤立ノードであるか否かを判定する孤立判定手段と
を備え、
上記ネットワーク管理手段が、
上記孤立判定手段により自ノードが孤立ノードであると判定されると、所定の傍受期間で、自ノードの送信期間の開始までのタイマーをセットし、上記無線受信手段に対して、自ノード宛以外も含め受信可能な全ての上記通信信号を傍受させる指令を行ない傍受指令部と、
上記傍受期間内に上記無線受信手段により受信された上記通信信号の送信元情報に基づいて親ノードを決定する親ノード決定部と
を有する
ことを特徴とする無線通信装置。
今日のみどころ
無線マルチホップネットワークでノードが孤立してしまった場合でも、特別な処理をすることなく、孤立ノードがデータを送信できるようにする発明です。
請求項1で、「タイマーをセット」という用語がありますが、その後に登場しないので、タイマーがどのように使われるのかが明確でないような気がします。
明細書まで読むと、そのタイマーがゼロになるまでの時間内に傍受をするということが読み取れると思いますが、そのことも請求項1に書く必要があったのかなと思います。それか、そもそもタイマーについて請求項1に書く必要がなかったのか?!とも思います。
若干、不思議な感じがする請求項1ですが、特許をとったことは疑いないことなので、これでOKと思います!