反射板を介した無線通信での通信不良区間判定システムに関する発明です。
この通信不良区間判定システムでは、2つの通信局(第一及び第二通信局)が反射板を介して無線通信します。そして、第一通信局から反射板までの区間と、第二通信局から反射板までの区間とのどちらの区間で通信不良(通信障害)が発生したかを特定します。
無線通信は、マイクロ波による無線通信が想定されています。
特許第5840962号(特開2013-157781) 中国電力株式会社
出願日:2012年10月30日 登録日:2015年11月20日
従来は2つの通信区間のどちらで受信強度が低下したか判定できない
マイクロ波による無線通信において、受信強度の低下を判定する装置が従来知られています。
しかしながら、2台の通信装置(送信局、受信局)が反射板を介して電波を送受信するときに受信電波強度の低下が検出された場合に、送信局から反射板までの区間の受信強度が低下したのか、それとも、反射板から受信局までの区間の受信強度が低下したのかを判定することができませんでした。
反射板が受信強度を測定してどちらの区間で低下したかを判定
この発明の通信不良区間判定システムは、反射板が受信強度測定手段を備えています。具体的には、この受信強度判定手段は、第一及び第二通信局それぞれから受信する電波の受信強度を蓄積しており、どちらかの受信強度が低下したか否かを判定します。受信強度が低下したと判定された場合、どちらの区間の電波の受信強度が低下したかを判定します。
これにより、第一通信局から反射板までの区間と、第二通信局から反射板までの区間とのどちらの区間で通信不良(通信障害)が発生したかを判定します。なお、従属の発明として、通信障害が発生したときの気象条件も記録しておいて通信障害の原因の特定に役立てる技術も開示されています。
第1の通信局と第2の通信局とが反射板を介して無線通信する状態で、通信不良の区間を判定する通信不良区間判定システムを提供する。
【請求項1】
第1の通信局と第2の通信局とが反射板を介して無線通信する状態で、通信不良の区間を判定する通信不良区間判定システムであって、
前記反射板に設けられ、前記第1の通信局および第2の通信局から受信した信号の受信強度を測定する受信強度測定手段と、
通信不良が発生した場合に、前記受信強度に基づいて、前記第1の通信局と前記反射板との区間または、前記第2の通信局と前記反射板との区間で、通信不良が発生したかを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする通信不良区間判定システム。
今日のみどころ
各通信区間の電波の受信強度の測定と、これらの測定値の閾値との比較とにより通信障害箇所を特定します。特許のポイントはとてもシンプルです。反射板に受信強度の測定手段を組み合わせた点が課題解決に結びついています。
従来ある技術を組み合わせることで従来にない効果を発揮するのであれば進歩性が認めらる可能性があります。審査において進歩性の判断が認められるかが微妙になりそうな場合には、出願段階から発明の効果をしっかりと明細書に書いておくと中間処理に役立ちます。すばらしい。