【特許紹介】監視カメラが適切な無線通信方式を選択する特許発明(パナソニック)を紹介

 今回は、複数の無線通信方式に対応したカメラについての発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、監視カメラとコントローラとが複数の通信方式のどれで無線通信を行うかを選択する方法が開示されていませんでした。

 この発明の監視カメラシステムは、各チャネルの重み係数と環境値とを掛けた値で通信方式を選択します。これにより、複数の通信方式の中から、最適な通信方式(同一または近いチャネルでの通信が良好である通信方式)を選択することができるようになります。



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監視カメラとコントローラとが複数の通信方式のどれで無線通信を行うかを選択する方法

 監視カメラとコントローラが無線通信で接続されることがあります。監視カメラが撮影した画像が無線通信でコントローラに送信されます。

 監視カメラとコントローラとは、複数の無線帯域を使用可能なものもあります。複数の無線帯域は、例えば、5GHz帯、2.4GHz帯、1.9GHz帯があります。

 この場合、監視カメラとコントローラとが、複数の通信方式のどれを用いて無線通信を行うかを選択する方法は、開示されていませんでした。

各チャネルの重み係数と環境値とを掛けた値で通信方式を選択


 この発明の監視カメラシステム(監視カメラとコントローラ)は、複数の通信方式のうちから、適切な通信方式を選択して通信することができます。

 監視カメラとコントローラは、複数の通信方式に対応しています。

 監視カメラは、各通信方式の無線方式の帯域の環境値を測定します。ここで、環境値というのは、通信の環境を示す値であり、パケットエラー率や受信電界強度が用いられます。

 そして、監視カメラは、通信方式ごとに、各チャネルの重み係数を環境値に掛けた値に基づいて通信に用いる通信帯域を決定します。重み係数は、当該チャネルと同じチャネルで高くなるように定められています(図11)。

 このようにすることで、監視カメラシステムは、複数の通信方式の中から、最適な通信方式(同一または近いチャネルでの通信品質が良好である通信方式)を選択することができるようになります。

 特許第6566215号 パナソニックIPマネジメント株式会社
 出願日:2017年5月23日 登録日:2019年8月9日

【課題】
帯域が互いに異なる複数の通信方式の中から最適な通信方式を容易に選択することができる監視カメラシステムを提供する。
【請求項1】
 撮像を行い、画像データを生成する監視カメラと、
 前記監視カメラから画像データを受信して表示し、前記監視カメラを制御するコントローラと、
 を具備する監視カメラシステムであって、
 前記監視カメラと前記コントローラとは、帯域が異なる複数の通信方式のいずれかにより無線通信を行い、
 前記監視カメラは、
 各通信方式の帯域の環境を示す環境値を測定し、
 前記各環境値に通信方式毎の重み係数を掛けた値に基づいて前記コントローラとの通信に用いる通信方式を決定し、
 前記決定した通信方式により前記画像データを前記コントローラに送信する、
 監視カメラシステム。

今日のみどころ

 監視カメラとコントローラが、Wi-Fiを含む複数の無線通信で接続できる場合に、どの方式の無線通信で接続するかを決めることができる発明です。

 割り当てられたチャネルと同一のチャネルだけでなく、そのチャネルに近いチャネルの通信の環境値も考慮するのが、おもしろいポイントであると思います。