【特許紹介】無線通信できなくなった直前のデータを用いてシェアカーの返却処理を実行(パーク24)を紹介

 今回は、カーシェアリングの車両(シェアカー)の管理の提供に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、無線通信できない場所では車両の返却処理ができない問題があります。

 この発明では、無線通信できなくなった直前のデータを用いて車両の返却処理を実行します。これにより、車両の保管場所が公衆電話回線の無線通信の圏外である場合でも、車両の返却処理をすることができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

無線通信できない場所では車両の返却処理ができない問題

 車両を複数のユーザで共有するカーシェアリングシステムがあります。

 カーシェアリングの車両は、カーシェアリングの車両を管理するためのサーバと通信する車載器を搭載しています。この車載器がサーバと通信することで、車両の貸し出しや返却の処理を自動化しています。

 しかし、カーシェアリングの車両の保管場所が、公衆電話回線の無線通信を利用する通信ができない場所であると、車両の貸し出しや返却の処理をすることができないという問題があります。

無線通信できなくなった直前のデータを用いて車両の返却処理を実行


 この発明のサーバ(車両管理サーバ)は、カーシェアリングの車両を返却する保管場所が、公衆電話回線の無線通信(たとえば携帯電話網)を使った通信ができない場所である場合でも、車両の返却をできるようにします。

 カーシェアリングの車両は、通常時、つまり公衆電話回線の無線通信を利用する通信ができるときには、定期的に、車両の位置を示す位置データと、時刻データをサーバに送信しています。

 サーバは、送信された位置データと時刻データを受信して、管理用データとしてデータベースに格納して管理しています。

 そして、カーシェアリングの車両が、返却のために保管場所に移動していくと、公衆電話回線の無線通信を確保できなるのですが、サーバは、無線通信ができなくなったその直前に受信した管理用データを用いて返却処理をします。

 このようにすることで、車両の保管場所が公衆電話回線の無線通信の圏外である場合でも、車両の返却処理をすることができます。

 特許第6675454号 パーク二四株式会社
 出願日:2018年8月16日 登録日:2020年3月12日

【課題】
 カーシェアリングのサービスを提供するための車両が、公衆電話回線による無線通信が確保できない環境に保管されていても、カーシェアリングのサービスを円滑に運用するための技術を提供する。
【請求項1】
 車両共有サービスに用いるサービス対象車両およびそのサービス対象車両を利用する利用者を管理する車両管理サーバであって、
 前記のサービス対象車両を管理するために、当該サービス対象車両が公衆電話回線による無線通信を確保している場合には定期的に当該サービス対象車両の位置データおよびその位置データに紐付けられた時刻データを管理用データとして受信するデータ受信手段と、
 そのデータ受信手段が受信した管理データを格納する車両管理データベースと、
 利用者の利用料金に関するデータを格納する会員データベースと、
 当該サービス対象車両が公衆電話回線による無線通信を確保できなくなった直前に受信した管理用データに基づいて返却時刻を推定する返却時刻推定手段と、
を備えた車両管理サーバ。

今日のみどころ

 携帯電話の電波の圏外になると、携帯電話の通信を用いて行っていた返却処理ができなくなる。と考えて、そこで思考停止してしまうことも多いと思います。

 でも、具体的な事業を見ていると、携帯電話の電波の圏外であっても返却処理をしないといけないというニーズがある。そんなときに、どうやって実現するかと考えていくことが、新しい発明を生み出す力になって、新しいサービスが生まれますよね。

 発想力を鍛えていきたいですね。