【特許紹介】アプリがサポートされているデバイスだけにダウンロード許可する特許発明(アップル)

 今回は、スマホなどのアプリのダウンロードに関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、対応していないコンピュータデバイス上でアプリが適切に動作しない問題があります。

 この発明では、選択されたアプリがサポートしているデバイスだけにダウンロードを許可します。これにより、アプリがサポートしていないデバイスへのダウンロードが回避されます。





対応していないコンピュータデバイス上でアプリが適切に動作しない問題

 さまざまな形態のコンピュータデバイスが普及しています。たとえば、以前からあるデスクトップ型のコンピュータ、ノート型(ラップトップ型)のコンピュータのほか、スマホやタブレットなどのハンドヘルド型コンピュータ、VRゴーグルやメガネや腕時計のような装着型のコンピュータもあります。

 そのようなコンピュータデバイス上で動作するアプリ(アプリケーション)のプログラムは、特定のハードウェアおよびソフトウェアのプラットフォーム上で動作するように構築されます。

 ユーザは、アプリプログラムが管理されているストア(リポジトリ)からデバイスにダウンロードして使用します。

 しかし、ユーザが、そのデバイスで適切に機能しないアプリをダウンロードしてしまうことがあり、その場合、アプリがデバイス上で適切に動作しないという問題があります。

選択されたアプリがサポートされているデバイスにダウンロードを許可


 この発明のダウンロード方法では、まず、ハンドヘルドコンピュータ(スマホやタブレット)がアプリのオンラインのストア(リポジトリ)にアクセスして、ダウンロード可能なアプリを表示します。

 次に、ダウンロードするアプリの選択をユーザから受けると、ハンドヘルドコンピュータのデバイスタイプが、選択されたアプリがサポートされているデバイスタイプの1つであるかどうかを判定します。

 そして、ハンドヘルドコンピュータのデバイスタイプが、サポートデバイスタイプに1つであると判定した場合にダウンロードを許可し、そうでない場合には、ダウンロードを拒否します。

 このようにして、アプリがサポートされていないデバイスに、そのアプリがダウンロードされることを回避することができます。

権利化段階のポイント/拒絶査定不服審判でのポイント

 この特許の内容を勉強してみましたが、一見、どこに特許性が認められたのがよくわかりませんでした。出願日が2010年2月8日と、10年以上前ではありますが、その時点でも普通の技術だったのではないかと思いました。

 そこで、特許が認められた経緯を調べてみました。

 この特許については、拒絶査定がされたあと、拒絶査定不服審判で特許性が認められています。審判でもいくつかの引用文献が挙げられています。

 その中で引用文献3が、この件にかなり近いと思えました。引用文献3を使った進歩性欠如の認定にどのように反論したかを調べます。

 引用文献3の全記載を考慮しても、ユーザのデバイスに適切なアプリケーションを決定するタイミングは、ユーザに対して選択アプリケーションを提示する前であり、ユーザは予め選別されたアプリケーションの中からアプリケーションを選択することとなる。
 したがって、引用文献3には、
 ・サーバが有する全アプリケーションの中からアプリケーションを選択させ、
 ・選択されたアプリケーションに関する情報を表示し、
 ・選択されたアプリケーションのダウンロード要求を受けると、インストール先のコンピュータデバイスのデバイスタイプを取得し、
 ・取得したデバイスタイプに基づいて、ダウンロードの実行の可否を決定する、
という技術的思想は開示・示唆されていない。

 すなわち、引用文献3には、ユーザに対してはユーザデバイスに適合するアプリケーションプログラムの中から所望のアプリケーションプログラムを提示するという技術的思想が開示されており、当該技術的思想と本願請求項1に係る発明の技術的思想とは相容れない技術的思想である。
 この結果、本願請求項1に係る発明に対する引用文献3に記載の技術の適用には技術上明確な阻害要因が存在する。

 つまり、引用文献3では、サーバでアプリを決定してから、ユーザがアプリを選択、という順番になっているのに対し、本発明では、ユーザがアプリを選択してから、アプリの実行可否を決定という順番になっています。小さな違いのようにも思えますが、明らかな違いがあります。

 そして、この違いがあることから「当該技術的思想と本願請求項1に係る発明の技術的思想とは相容れない技術的思想である」とまとめています。

 拒絶査定不服審判ともなれば、審判官が挙げてくる引用文献もかなり適切なものになってくることが多いです。それでも正確に引用文献を読んで反論すれば、特許に導くことができる。この流れはとても参考になります。

 特許第5798295号 アップルインコーポレイテッド
 出願日:2010年2月8日 登録日:2015年8月28日

【課題】
互換性のあるコンピュータデバイスへのアプリケーションプログラムのダウンロードを管理するための方法の改良が求められている。
【請求項1】
 ハンドヘルドコンピュータデバイスによって実行される、オンラインアプリケーションリポジトリから前記ハンドヘルドコンピュータデバイスにアプリケーションプログラムをダウンロードするための方法であって、
 複数のダウンロード可能なアプリケーションプログラムを有する前記オンラインアプリケーションリポジトリにアクセスする工程と、
 前記オンラインアプリケーションリポジトリ内をナビゲートして、前記オンラインアプリケーションリポジトリ内の前記複数のダウンロード可能なアプリケーションプログラムからアプリケーションプログラムを選択する工程と、
 前記選択されたアプリケーションプログラムに関するアプリケーション情報を表示する工程と、
 ダウンロードボタンの選択を受信する工程と、
 前記ハンドヘルドコンピュータデバイスのデバイスタイプを取得する工程と、
 前記選択されたアプリケーションプログラムの1 または複数のサポートデバイスタイプを取得する工程と、
 前記デバイスタイプが、前記選択されたアプリケーションプログラムの前記1 または複数のサポートデバイスタイプの1 つであるか否かを判定する工程と、
 前記デバイスタイプが前記選択されたアプリケーションプログラムの前記1 または複数のサポートデバイスタイプの1 つであると判定された場合、前記ハンドヘルドコンピュータデバイスへの前記選択されたアプリケーションプログラムのダウンロードを許可する工程と、
 前記デバイスタイプが前記選択されたアプリケーションプログラムの前記1 または複数のサポートデバイスタイプの1 つではないと判定された場合、前記ハンドヘルドコンピュータデバイスへの前記選択されたアプリケーションプログラムのダウンロードを拒否する工程と、
を備える、方法。

今日のみどころ

 スマホにアプリをダウンロードするときのアプリの選択に関する発明です。

 一見、どこが新しいのかよくわからない特許ですが、権利化時の絶妙な反論で特許になったことがわかります。権利化の流れを含めて勉強になります。