人と一緒に仕事をするときに思うように進まないことがありますよね。よくあることなのですが、これが相手からの攻撃だったとしたら怖いですよね。
「受動的攻撃」という攻撃手法を受けている可能性があります。
私は技術系サラリーマンとして働いています。仕事をしていれば人間関係でうまくいくこと、いかないことがでてくるのが当然ではありますが、うまくいかなかったときには、受動的攻撃をうけていたのかも。そして、知らないうちに自分が他人に受動的攻撃をしてしまっていたかも、と思います。
この記事では、「受動的攻撃」とその対応策についてシェアします。
受動的攻撃から自分の身を守るためにも、受動的攻撃とは何なのかを知っておくことが必要です。仕事などでの人間関係がうまくいかないと悩んでいる人は、読んでみると、解決の糸口が見つかるかもしれません。
仕事うまくいかない人や失敗する人ってもしかして受動的攻撃を受けていない?
人と一緒に仕事をするときに思うように進まないことがありますよね。
例えば以下のようなことがあると思います。
- 仕事のお願いを受け入れてもらえない。
- ひとに仕事をお願いしたけど期限内に終わらせてくれなかった。
- 大事なイベントの時にハプニングが起こってうまくいかなかった。
人とかかわって仕事をする以上、自分がいくら気を付けても、相手自身の問題や、その相手に降りかかってきた問題のせいで、うまくいかないこと、失敗することはあります。
でも、もしかして、それは攻撃を受けているのかもしれない。受動的攻撃という攻撃です。
特定の相手と仕事をするときばかりこんなことになるとか、特定の状況でよくトラブルが起こるとかだったら、可能性大かも?
こそこそと、一見わからないように怒りを表現されて攻撃を受けている可能性があります。もしそうだったら対応策をとることが必要です。
この記事では、「受動的攻撃」とその対応策についてシェアします。
本紹介『なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃』
この記事は、本『なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃』のなかの受動的攻撃に関する部分を参考にしています。(*1)
*1:この記事の中での「P.???」という記載は、この本の記載個所を示しています。
「怒り恐怖症」というのは、怒りの感情を出すことのリスクを大きく感じて怒りの感情を出すことができなくなってしまった状態をいいます(P.36)。行き場のなくなった怒りの感情は、なくなってしまうのではなく、受動的攻撃という形で出ることがあります。
そのひとは、受動的攻撃という形で人に敵意を表出することによって、遠回しに怒りを表現する(P.170)のだといいます。
私はこの本を読むまでは「受動的攻撃」という概念を知らなかったのですが、この本を読んだとき、自分が受動的攻撃を受けていた可能性があると思いました。また、自分もひとに受動的攻撃をしていた可能性があるという気がしてきました。
どちらも気を付けないといけないことがあります。あなたの参考にもなるかもしれませんので読んでください。
受動的攻撃とは、消極的に攻撃する手法
受動的攻撃は、精神医学の言葉です。
「受動的攻撃」とは、「積極的(active)」に攻撃を仕掛けるわけではなく、むしろ「消極的(passive)」に攻撃する手法である。(P.9)
怒りを直接に噴出するのではなく、何かを「しない」「与えない」「忘れる」という行為や態度によって怒りや敵意を表現することです。相手のことを想う行為に隠してする場合もあるようです。
積極的な攻撃、つまり、怒りの感情を表してしまうと、かどがたってしまったり、「怒りっぽい人」とか「感情の制御ができない人」という評判がたってしまったりしてよくない。
なので、「しない」などの行為(不作為)によって相手の心に不安や罪悪感をかき立てる。こうやって相手にダメージを与えるのが受動的攻撃です。(*2)
*2:より詳しい説明は、本『なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃』などを参照してください。
ここで、意図的に「しない」のか、すべきことを単に忘れてしまった結果として「しない」のかは、他人にはわからないので、受動的攻撃かどうかは明確に判断できるものではないです。ここが難しいところではあります。
一方、する側が意図的にやっているなら明らかに受動的攻撃と呼べると思います。「受動的攻撃」という概念を知らない人でも、
困らせてやろう、嫌な思いをさせてやろう、失敗させてやろうという意図で「しない」のであれば、これも受動的攻撃です。
受動的攻撃は、わかりにくく、人によってはダメージが大きい
受動的攻撃が怖いのは、一見わかりにくく、また、人によってはダメージが大きいことです。
直接的に怒りの感情を表すやり方は、「怒った」とか「怒られた」という事実をお互いに認識しているのでわかりやすい。ショックはあるものの、まだわかりやすいほうです。
一方、受動的攻撃は、わかりにくい。「何もしない」が攻撃手法だから。また、相手のことを想って言っているような言葉の中に敵意をもつ言葉が含められていたりする。だから一見わかりにくいです。
あと、自分が望んでいることを相手にはっきり伝えるのを怖がる人とか、優しい人とかは受動的攻撃を受けやすい。
なので、まずは「受動的攻撃」という手法があることを認識しておく必要があります。
そして、自分が受動的攻撃を受けているかもしれないと思ったら、対応のための行動をとれるようになっておく。これが自分の身を守ることにつながります。
受動的攻撃の具体例
本『なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃』のなかには、実際のストーリを例示しながら、受動的攻撃の具体例が複数示されています。(P.103)
妻の面接の書類を投函するのを頼まれた夫が、その投函を忘れることによって、妻のキャリアアップを邪魔する。
上司が短期間で山積みの仕事を部下にやらせる。部下が怒りを爆発させたら、怒りっぽい人という評判がたってしまう。
自分を責めることを言ったり、リストカットなどで自分の身体を傷つけたりするのも一種の受動的攻撃といえるようです。「自分をこんなにだめにしたのはあなた」という恨みの気持ちからくるとか(P.100)
つまり、相手の仕事をうまくいかせない、失敗させるような方向にもっていくということ。こういうのは、「陰湿なやりかた」とよく言われますが、受動的攻撃の具体例になっています。
受動的攻撃で仕事の失敗をしないようにする方法
受動的攻撃で仕事の失敗をしないようにするにはどうしたらよいか。以下の3点にまとめられると考えます。
- 受動的攻撃という攻撃手法があることを認識する
- 受動的攻撃の攻撃者から距離を置く
- 受動的攻撃を受ける側の要因をなくす
受動的攻撃という攻撃手法があることを認識する
まずは敵を知ることが重要です。上記の通り、受動的攻撃は一見わからない。受動的攻撃という概念を知らないと、どんどん攻撃を受け入れてしまいます。
例えば、部下に仕事を頼んだが期限内に終わらなかった。というときに、上司が部下に丁寧に仕事を教えたり、一部の仕事を引き受けたり、いろいろな面でサポートをしてあげる。これはいいのですが、何回も何回も繰り返されるという場合には、部下が上司に受動的攻撃をしている可能性があるといえます。
受動的攻撃という概念を知らないと、上司は、自分の教え方やサポートの仕方が悪いのかなと悩んだり、他にどんなやり方があるのか思案してみたり、自分の時間を使って部下の仕事をこなりたりする。上司は、疑いなく、部下のためと思ってする。
そのうち上司のほうがまいってしまいます。
こんなことにならないために、まずは、受動的攻撃という攻撃手法があることを認識しておくべき。
上司は、上記のようなことが続いたら、もしかすると受動的攻撃を受けている可能性があるな、と気づくことができます。
受動的攻撃の攻撃者から距離を置く
次に、受動的攻撃を受けているかもと感じたらどうしたらよいでしょうか。
シンプルに、その攻撃者から距離を置くことです(P.138)。できれば物理的な距離を置くのが良いと思いますが、それができない場合は心理面での距離を置くことでもよいと思います。
一緒にいる時間を減らす、または、なくす。関係を断つということができるなら、そうする。
会社の上司と部下の関係であれば、関係を断つことは簡単にはできないと思いますが、業務の独立性を高めたり、部下の自立を促すようにしたりすることで心理面での距離を置くことができる可能性があります。
受動的攻撃を受ける側の要因をなくす
あと、受動的攻撃は、受ける側にも要因があります。
上記の通り、自分が望んでいることを相手にはっきり伝えるのを怖がる人は、受動的攻撃を受けやすいようです。追従し譲歩する傾向が強いから(P.186)。
あと、優しい人も受動的攻撃を受けやすい。争いをできるだけ避けたいと思っているから(P.186)。
すなわち、受動的攻撃を受けないようにするには、はっきり伝えるのを怖がることをやめる、少しくらい争いがあってもかまわないというような気持ちを持つことがよさそう。ある程度、人とぶつかっても大丈夫という自信をもっていくのがよさそうでです。
自分が受動的攻撃をしてしまうケース
あと、自分が受動的攻撃をしてしまうケースがある。私はこの本を読んだ後、自分の今までの行動に、ひとに受動的行動をしていたと思うことがありました。
納期が厳しい仕事を強制的に受けさせられたときに、納期をすぎても仕事を終わらせないことがありました。厳しいことを言ってくる人に対して、要求を受けなかったり、その人を困らせる方向に対応することがありました。(そんなに深刻な程度ではないですが)
受動的攻撃という概念を知った今では、ちょっと注意をしないといけないかなと思っています。
そもそも受動的攻撃というのは、直接的な攻撃をしにくい相手に対してこそこそと攻撃をするという、ある意味「陰湿なやりかた」だと思うのです。
こんな「陰湿なやりかた」をしないためにできそうなことも本『なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃』に紹介されています。
簡単に紹介すると、起こる技術を身に付けること(P.43)、日ごろから怒りを出せる人間関係を気づいておくこと(P.248)、無力感を覚えたときでもそれを含めて自分だと受け入れること(P.249)などです。
これらを頭に叩き込んで、陰湿なやりかたをせずに、明るく明日からも生きていこうと思います。
今日のみどころ
「受動的攻撃」という攻撃手法についての情報をシェアしました。
まず「受動的攻撃」の概念を知ったうえで、ひとから受動的攻撃を受けた場合の対処や、自分が受動的攻撃をしてしまうのを減らす行動などについてシェアしました。
陰湿なやりかたをせずに、明るく明日からも生きていこうと思います。
※本『なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃』はかなりおすすめです。
正直、内容がかなり濃いです。重いです。そのぶん、自分の心の内側の部分を読まれて表に出された感じがする。この本を読んでおくと、人間(自分も他人も含めて)の心の動きをいままでより深く理解できるようになれそうです。