【特許紹介】電気自動車やハイブリッド車で受信する放送波のノイズをへらす特許発明(デンソーテン)

 今回は、電気自動車やハイブリッド車でのラジオのノイズに関する発明を紹介します。

 電気自動車やハイブリッド車のラジオ受信にノイズが入る問題があります。

 この発明では、ノイズ源からのノイズ信号を副端子に重畳し、そのノイズ信号を分離したあと、ノイズ信号を主端子の信号から除去します。これにより、端子を増設することなく、主端子の信号に含まれるノイズをへらすことができます。



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電気自動車やハイブリッド車のラジオ受信にノイズが入る問題

 電気自動車や、電気とガソリンを併用するハイブリッド車が使われています。

 電気自動車やハイブリッド車は、電力の変換につかうインバータや、動力源であるモータを搭載していて、これらが駆動するときにノイズを発生させます。

 電気自動車やハイブリッド車でラジオ放送を受信する場合、インバータやモータが発生させるノイズが、ラジオ放送に入ってしまうことがあるという問題があります。

ノイズ源からのノイズ信号を副端子に重畳し、主端子の信号から除去


 この発明の受信機は、2つの放送波(例えばFM放送波とAM放送波)を受信できます。

 例えば、FM放送波がアンテナによって受信されて主端子に入力され、AM放送波がアンテナによって受信されて副端子に入力されます。

 そして、車両のインバータやモータなどのノイズ源の近くに配置したアンテナからの信号が、副端子に重畳されて入力されます。

 その後、副端子に重畳されたノイズ信号を分離し、その信号を主端子の信号から除去することで、主端子の信号に含まれるノイズ信号を低減させます。

 このようにすることで、主端子の信号に含まれるノイズを確実に低減させることができます。また、ノイズの信号を副端子に重畳させるので、新たな端子を増設する必要がないというメリットもあります。

 特許第6461878号 株式会社デンソーテン
 出願日:2016年9月29日 登録日:2019年1月11日

【課題】
ノイズの低減精度を向上させることができる受信機、受信方法および無線機を提供する。
【請求項1】
 主アンテナ部によって受信された放送波を含む主信号が入力される主端子と、
 副アンテナ部によって受信された放送波を含む副信号と、アンテナ部によって受信されたノイズ信号とが重畳した重畳信号が入力される副端子と、
 前記副端子から入力された前記重畳信号から前記ノイズ信号と前記副信号とを分離する分離部と、
 前記分離部が分離した前記ノイズ信号を用いて、前記主信号に含まれるノイズ成分を低減するノイズ低減部と、
 を備えることを特徴とする受信機。

今日のみどころ

 電気自動車やハイブリッド車が発するノイズが放送波に含まれて受信されることを防ぐことができる発明です。
 
 ノイズ除去の信号処理は、いろいろな分野で行われているので、特許性が認められにくい可能性があります。そんな場合は、この分野ならではのポイントをからませるのがよいです。

 この発明の場合だと、主アンテナと副アンテナがあることとか、副端子の信号にノイズを重畳させているという点が、この分野ならではのおもしろいポイントだと思います。