【特許紹介】転送用サーバと処理用サーバとに切り分けたMNO接続用ゲートウェイの特許発明(ソラコム)を紹介

図2

 今回は、MVNO(楽天モバイルなど)に関する特許を紹介します。

 近年、MVNOを経由してMNOに同時接続できる端末数を増加させるニーズがあります。

 この発明では、MNO接続用ゲートウェイがデータ転送用サーバと処理用サーバに切り分けられています。これにより、サーバの負荷分散が図られて同時接続端末数を増加させることができます。



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MVNOを経由してMNOに同時接続できる端末数を増加させるニーズ

 最近、MNO(移動体通信事業者)から通信回線を借り受けて小分けして販売するMVNO(仮想移動体通信事業者)が登場しています。(楽天モバイルなどの格安SIMを提供する事業者がだいたいMVNOだと思ってOKです)

 端末がMVNOの通信ネットワークに接続する構成では、MVNOが、MNOのネットワークに接続するためのゲートウェイ装置を保有している必要があります。

 最近、携帯電話やスマホの他、IoT機器などの通信端末が通信ネットワークに接続されるようになってきて、同時接続できる通信端末数を増加させるニーズがあります。

MNO接続用ゲートウェイがデータ転送用サーバと処理用サーバに切り分け

図1


図2

 この発明では、ゲートウェイが、第一のサーバ群と第二のサーバ群という、複数のサーバ群を有しています。

 第一のサーバ群は、通信端末から通信データを受信して、第二のサーバ群にその通信データを転送します。第二のサーバ群は、第一のサーバ群から受信した通信データに対して何かの処理をするサーバです。この処理は、例えば、パケットのトンネリングに関わる処理です。

 また、第一のサーバ群は、通信端末から通信データを受信したら、その通信データのヘッダの情報を基にして、第二のサーバ群の中のどのサーバにデータを転送するかを決定します。決定したら、通信データのIPアドレスを書き換えます。

 このように、データを転送するサーバと、データに対する処理をするサーバとに役割を切り分けることで、同時接続機器の増加に対応することができる効果があります。

 特許第6097467号 株式会社ソラコム
 出願日:2016年6月9日 登録日:2017年2月24日

【課題】
無線端末にIPネットワークへのアクセスを提供するための通信システム及び通信方法において、従来よりも同時接続可能機器数の増加を可能とする。
【請求項1】
 無線端末にIPネットワークへのアクセスを提供するための通信システムであって、
 前記無線端末からのデータを前記IPネットワークに通過させるためのゲートウェイを備え、
 前記ゲートウェイは、
  前記無線端末からのデータを受信し、
  受信した前記データのヘッダを元に複数の送信先アドレスのいずれかから1つを選択し、
 前記データを前記選択された送信先アドレスに転送する第1のサーバ群を有し、
 前記第1のサーバ群のそれぞれは、前記複数の送信先アドレスのいずれかに対応する第2のサーバ群を構成するサーバに前記データを転送することを特徴とする通信システム。

今日のみどころ

 最近は、楽天モバイルなどの格安SIMもだいぶ種類がふえて落ち着いていると思います。使っている人も多いと思います(私も使ってます)。

 現状では、スマホ向けの格安SIMが主流ですが、これからはIoT向けのSIMも増えていくことになると思います。IoT機器では、数時間や数日に一回の少量のデータを送信するというような使い方も想定されていて、端末の数が膨大になります。

 そんな時代に対応できるようなネットワーク側の装置の発明です。勉強になります。