今回はMVNOに関する発明を紹介します。
従来、多数のMVNOが簡便に複数のSIMカードを利用したいという要求がありました。
この発明では、MVNEが提供する画面上でSIMの通信状態と通信品質の設定を変更可能としています。これにより、多数のMVNOが簡便に複数のSIMカードを利用できるようになります。
多数のMVNOが簡便に複数のSIMカードを利用したい
MNO(移動体通信事業者)から通信回線の提供を受けて、エンドユーザに通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)があります。また、MNOとMVNOの間にMVNE(仮想移動体通信サービス提供者)が介在するサービス形態もあります。
この形態では、MNOがMVNEに提供する回線を、MVNEが小分けしてMVNOに提供することができます。回線の契約は、SIMカードの提供によりなされます。
特に、IoTの通信では、小さいデータを低頻度で通信する機器が多く存在する場合も想定されます。
MVNOがMNOとの間で複数の回線の契約をしたい場合、MVNOは、複数のSIMカードの契約をMVNOに申し込みます。しかし、SIMカードが比較的少数であると、MNOと一括で契約することができないことがあります。また、SIMカードの登録手続きなどが煩雑であるという問題があります。
MVNEが提供する画面上で通信状態と通信品質の設定を変更可能
この発明は、MVNEが提供するSIMカードの管理方法に関する発明です。
MVNEが提供する管理画面上で、MVNEが提供するSIMカードそれぞれの通信状態と通信品質の設定が変更可能になっています。
通信状態は、休止中、使用中、又は、解約済みなどを示す情報です。通信品質は、速度制限、又は、容量制限などを示す設定です。
MVNOは、SIMカードの提供を受けると、この管理画面にアクセスして、提供を受けたSIMカードの通信状態と通信品質を設定することができます。
これにより、MVNOは、間便にSIMを利用開始できるようになります。この方法はSIMカードが比較的少数であっても可能です。
特許第6116085号 株式会社ソラコム
出願日:2016年6月9日(優先日2015年6月10日) 登録日:2017年3月31日
複数のSIMカードを利用するための管理方法及び管理サーバにおいて、多数の利用者が簡便に利用を開始できるようにする。
【請求項1】
複数のSIMカードを利用するための管理方法であって、
コンピュータが、1又は複数のSIMカードを登録するための登録情報を受け取るステップと、
コンピュータが、受け取った前記登録情報により識別番号が特定された1又は複数のSIMカードを前記複数のSIMカードの利用者の利用者IDと関連づけるステップと
を含み、
関連づけられた前記1又は複数のSIMカードの通信状態は、前記利用者IDに対して提供される管理画面から変更可能であり、
各SIMカードの通信品質は、前記管理画面から変更可能であることを特徴とする管理方法。
今日のみどころ
MVNEとMNOとの間で行われるSIMカードの設定についての発明ですが、管理画面上でSIMカードの情報を設定できるということがポイントです。
管理画面上で設定する、ということだけだと特許とれないんじゃないかと思ってあきらめてしまうことも多いと思います。でも、とれている例もありますので、あきらめるのはもったいないです!