通信を抑制しながら暗号鍵記憶領域の断片化を解消する無線APの特許発明 サイレックス・テクノロジー

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 無線LANのアクセスポイントに関する発明です。従来のアクセスポイントは、暗号鍵の記憶領域の断片化により新しい暗号鍵を記憶できない状態になる問題がありました。

 このアクセスポイントは、通信を抑制する信号を送信した後に断片化を解消する処理をします。これにより、暗号鍵などの通信パラメータを効率よく管理することができます。

 特許第5747194号(特開2013-175884) サイレックス・テクノロジー株式会社
 出願日:2012年2月24日 登録日:2015年5月22日

暗号鍵の記憶領域の断片化により新しい暗号鍵を記憶できない状態になる問題

 アクセスポイントは通信相手である通信端末ごとに、通信に用いる暗号鍵を保持する必要があります。そのため、複数の通信端末と通信リンクを確立しているアクセスポイントは通信端末の個数だけの暗号鍵を保持しています。

 そして、通信リンクが切断されると、この通信リンクで使用していた暗号鍵が削除され、記憶領域に空白部分が生じます。この状態が断片化された状態です。暗号鍵は通信リンクの暗号方式(例えばCCMP,TKIP)によって大きさが異なります。記憶領域の空白部分より大きい暗号鍵をこの空白部分に入れることができないので、記憶領域の中に、新しい暗号鍵を記憶できない領域が生じます。

 この領域が離散的に存在すると、記憶領域全体としても新しい暗号鍵を記憶できない状態になります。

通信を抑制する信号を送信した後に断片化を解消

 そこで、この発明のアクセスポイントは、断片化された状態を検出した場合に、記憶領域の空白部分をつめてなくすように暗号鍵の保存場所を移動させることで、断片化を解消します。

 また、断片化の処理中には当該暗号鍵が通信に使用されることがないように、通信を無線端末との通信を抑制するための信号を事前に送信することも行います。

 これにより、暗号鍵などの通信パラメータを効率よく管理することができます。

(用語)
CCMP:Counter mode with CBC-MAC Protocol 無線LANのための暗号化プロトコル
TKIP:Temporal Key Integrity Protocol) 無線LANのための暗号化プロトコル

【課題】
多数の無線クライアントが頻繁に接続および切断を繰り返す環境であっても,追加的リソースを必要とせず,暗号鍵などの通信パラメータを効率よく管理することが可能なアクセスポイントおよびそのプログラムを提供することを目的とする。
【請求項1】
 自身と接続している無線クライアント毎のパラメータを記憶するパラメータ記憶領域と,
 前記パラメータ記憶領域の断片化の状態に基づき,当該断片化の解消処理を行うかどうかを判断する断片化解消処理判断手段と,
 断片化の解消処理を行うと判断すると,少なくとも前記無線クライアントによって受信可能であり,所定時間を指定してその間前記無線クライアントに通信を抑制させる通信抑制依頼を送信する通信抑制依頼送信手段と,
 前記通信抑制依頼を送信すると,指定した前記所定時間内において,前記パラメータ記憶領域の断片化の解消処理を行う断片化解消手段と,
を備える無線アクセスポイント。

今日のみどころ

 記憶領域の断片化と無線通信とを組み合わせた新しい着想からの発明であると思います。断片化の解消の処理や、無線通信の抑制のための信号は従来あるものですが、通信への影響を抑えながら暗号鍵を効率よく管理するという目的を達成するために上手に組み合わせたものです。

 具体的な課題があり、その課題の解決のために必要な技術を選択して組み合わせると進歩性が認められやすいと思います。具体的な課題を見つける、又は、既に見つけた抽象的な課題を具体的なものにすることが特許をとることにつながると思います。