生体情報を用いてEdy等の電子マネーの不正取得を防止する発明 楽天

 従来のNFC対応携帯端末のリーダライタで他人の電子マネーを不正取得できてしまう問題があります。この問題を解消する発明です。

 この発明の携帯端末では、支払者の生体情報を用いて過去に支払いをしたかを判定します。これにより、同一の支払者が連続して支払うこと、つまり、悪意者が不正に電子マネーを取得することを防ぐことができます。

 特許第5985103号 楽天株式会社 楽天Edy株式会社
 出願日:2014年4月8日 登録日:2016年8月12日

携帯端末のリーダライタで他人の電子マネーを不正取得できてしまう問題

 楽天EdyのようなNFC(近接場通信)を用いた電子マネーが使われています。NFCを用いた電子マネーをコンビニなどの店頭で使用する場合には、NFCの回路が組み込まれたカードや、NFCの回路を備えた携帯端末(スマホでもガラケーでも)を専用のリーダライタに近づけることで支払いが完了します。

 一方、携帯端末をリーダライタとして使用する形態も可能です。例えば、電子マネーの決済用のプログラム(アプリ)をインストールしたスマホをリーダライタとして用いることができます。劇場や野球場で観客席の間を売り歩く用途に便利です。

 しかし、携帯端末がリーダライタとして使えるようになると、他人の電子マネーを不正に取得する(盗む)ことができてしまうという問題があります。例えば、鞄の中の携帯端末に鞄越しに鞄の外から携帯端末を近づけて電子マネーを盗むことも想定され得ます。

支払者の生体情報を用いて過去に支払いをしたかを判定

 この発明では、同じ支払者が連続して支払いを行うことは極めてまれであることを前提としています。つまり、同じ支払者による連続した支払いは、悪意者が不正行為によりさせた支払いだと考えます。

 この前提の下で、この発明の携帯端末は、電子マネーによる支払いの前に、支払者の生体情報を用いて今回の支払者が過去にも支払いをした人であるか否かを判定します。生体情報の具体例は、指紋、声紋、顔・網膜・光彩の形状などです。

 そして、今回の支払者が過去に支払いをした人ではない場合に、NFCによる通信によって電子マネーの支払を行います。これにより、同一の支払者が連続して支払うこと、つまり、悪意者が不正に電子マネーを取得することを防ぐことができます。

 なお、同一の支払者である場合には、操作者が特別な操作をしたうえで支払い可能にするというアイデアも明細書内に記載されています。

【課題】
電子バリューの支払者に操作者が提示する携帯端末において、不正使用を抑制するのに好適な携帯端末を提供する。
【請求項1】
電子バリューの支払者へ支払を求める操作者により前記支払者へ提示される携帯端末であって、当該携帯端末はプログラムを実行することにより、
前記支払者の第1生体情報を取得する取得部、
前記取得部により過去に取得された生体情報に係る電子バリューの支払が前記携帯端末を介して過去に完了した生体情報として保持部に保持された生体情報である第2生体情報が、前記第1生体情報にマッチしなければ、前記支払者による前記電子バリューの支払の支払元となる可搬デバイスとの近接場通信を開始する制御部
を備え、
前記開始された近接場通信により前記携帯端末を介した前記電子バリューの支払が完了すれば、前記保持部は、前記取得部により過去に取得された生体情報に係る電子バリューの支払が前記携帯端末を介して過去に完了した生体情報として、前記第1生体情報を保持する
ことを特徴とする携帯端末。

今日のみどころ

 楽天Edyなどの電子マネーでの不正の防止に関する発明です。この発明は、楽天Edyに限定されることはなく、楽天Edyなどの流通販売系電子マネー、SuicaやICOCA等の交通系電子マネーなどさまざまな電子マネーに共通に適用可能です。

 この発明は、電子マネーを不正取得できてしまう問題を、指紋などの生体情報を組み合わせて回避することを狙っています。現時点でも店頭でEdyなどを使う際に画面へのタッチが促されたりすることから、指紋を取得すること自体は支払者にとって受け入れやすいのではないかと思います。

 なお、明細書中で「課金」の文言が「支払い」の意味で用いられていました。最近の新しい使い方だと認識していますが、審査で疑義が生じたり、権利範囲に影響したりする可能性がゼロでないように思われるので、現時点では使用を避けた方が無難だと思います。