【特許紹介】ハンズフリー装置と携帯電話機とで電話データを整合させる特許発明(パナソニック)を紹介

 今回は、ハンズフリー装置に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、ハンズフリー装置と携帯電話機の電話データの整合がとれないという問題があります。

 本発明では、携帯電話が発信状態に遷移したら発信履歴データの転送を中止します。これにより、ハンズフリー装置と携帯電話機との間の電話データ(発信履歴データ)の整合性を保つことができます。



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ハンズフリー装置と携帯電話機の電話データの整合がとれない問題

 携帯電話機からハンズフリー装置へ、電話帳データなどを転送する技術があります。

 ハンズフリー装置は、近距離無線通信(具体例はBluetooth)で携帯電話機に接続し、ハンズフリー通話に用いられます。ハンズフリー装置は、例えば、自動車に搭載されます。

 従来、電話データの転送中に電話通信状態が遷移した場合に、ハンズフリー装置と携帯電話機との間の電話データの整合がとれなくなるという問題があります。

携帯電話が発信状態に遷移したら発信履歴データの転送を中止


 この発明のハンズフリー装置は、ハンズフリー装置と携帯電話機との間の電話データの整合性を保つことができます。

 ハンズフリー装置は、携帯電話機と接続した後に、携帯電話機から電話データの転送を受け付けます。電話データは、発信履歴データや電話帳データなどを含んでいます。

 ハンズフリー装置は、電話データの転送を受け付けると、電話データの転送を開始します。

 ハンズフリー装置は、電話データの転送中に、携帯電話機の電話通信状態が遷移(変化)した場合、電話通信状態に応じた制御をします。

 具体的には、電話データの転送中に、電話を発信する状態(発信状態)に遷移した場合に、電話データのうちの発信履歴データの転送を中止します。

 また、電話データの転送中に、発信状態以外の状態に遷移した場合に、発信履歴データの転送を中止せずに続行します。

 このようにすることで、ハンズフリー装置と携帯電話機との間の電話データ(発信履歴データ)の整合性を保つことができます。

 特許第6865401号 パナソニックIPマネジメント株式会社
 出願日:2020年3月16日 登録日:2021年4月8日

【課題】
電話に関する電話データの整合性を効率よく保つことができる、ハンズフリー装置、データ転送方法、およびプログラムを提供する。
【請求項1】
 ハンズフリー通話を行うためのハンズフリー通信プロトコルを用いて携帯電話機と接続するハンズフリー接続処理を実行するハンズフリー接続部と、
 電話に関する電話データの転送を行うためのデータ転送プロトコルを用いて携帯電話機と接続し、前記携帯電話機から前記電話データの転送を受付けるデータ転送処理を行うデータ転送接続処理部と、
 前記電話データの転送中に、前記携帯電話機の電話通信状態が遷移した場合、転送中の前記電話データおよび遷移後の前記電話通信状態に応じた、転送に関する転送制御を実行する転送制御部と、を備え、
 前記転送制御部は、
 発信履歴データを含む前記電話データの転送中に、前記電話通信状態が発信状態へ遷移した場合、少なくとも前記発信履歴データの転送を中止する前記転送制御を実行し、
 前記発信履歴データを含む前記電話データの転送中に、発信状態以外の前記電話通信状態へ遷移した場合、前記発信履歴データの転送を続行する前記転送制御を実行する、
ハンズフリー装置。

今日のみどころ

 携帯電話機が電話データを転送中に発信状態になった場合に発信履歴データの転送を中止するようにすることで、ハンズフリー装置と携帯電話機のデータの整合性を保つことがポイントです。

 目的と効果だけを抜き出すととてもシンプルです。こういうシンプルなアイデアについての特許をしっかりととって積み重ねていくと、しっかり製品を守れる特許群を構成できて、いいと思いますね。