【特許紹介】運転者の眼が隠れていても覚醒度を判断できる特許発明(三菱電機)を紹介

 今回は、自動車の運転手のモニタリングに関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、運転者の眼が隠れているとモニタリングできないという問題があります。

 本発明では、運転者の頭部の位置と傾斜角の分散に基づく姿勢保持機能から覚醒度を判断します。これにより、運転者の眼が隠れている場合でも運転者の覚醒度のレベルを検出することができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

運転者の眼が隠れているとモニタリングできない

 自動車(トラック、バス、一般車など)の運転手などをモニタリングするドライバモニタリングシステムがあります。

 従来のドライバモニタリングシステムは、運転手の眼を撮影して運転手の覚醒度または眠気を推定することがあります。その場合、運転手がサングラスを着用している場合には、運転手の眼が撮影されず、覚醒度または眠気の推定ができません。

 このように、従来のドライバモニタリングシステムは、運転者のモニタリングを、常時できるわけではないという問題があります。

運転者の頭部の位置と傾斜角の分散に基づく姿勢保持機能から覚醒度を判断


 この発明の装置(情報処理装置)は、運転者の眼が隠れている場合でも運転者の覚醒度のレベルを検出することができます。

 まず、運転者が撮影された画像を取得し、画像上での運転者の頭部の座標と、頭部の傾斜角とを検出します。検出した頭部の座標の分散と、頭部の傾斜角の分散とから、運転者の姿勢保持機能を評価します。姿勢保持機能は、運転者が自身の姿勢を保持する機能(能力)です。

 そして、運転者の姿勢保持機能の評価に基づいて、運転者の覚醒度のレベルを推定します。

 このようにすることで、運転者の眼が隠れている場合でも運転者の覚醒度のレベルを検出することができます。運転者の頭部の位置や傾斜の分散(どの程度ばらついているか)の評価を用い、言い換えれば、運転者の眼に基づく評価を用いないことがポイントといえます。

 特許第6689470号 三菱電機株式会社
 出願日:2019年6月18日 登録日:2020年4月9日

【課題】
運転手の眼が隠れている場合でも、運転手の覚醒度のレベルを検出できるようにする。
【請求項1】
 運転手の頭部を含む画像から、前記運転手の頭部の座標である頭部座標を検出する頭部座標検出部と、
 前記画像から、前記運転手の頭部の傾斜角である頭部傾斜角を検出する頭部傾斜角検出部と、
 予め定められた期間における前記頭部座標の分散と、前記予め定められた期間における前記頭部傾斜角の分散とから、前記運転手が姿勢を保持する機能である姿勢保持機能の状態の評価を行う評価部と、
 前記評価を用いて、前記運転手の覚醒度のレベルを推定する覚醒度推定部と、を備えること
 を特徴とする情報処理装置。

今日のみどころ

 運転者の覚醒度(または眠気)を推定する技術に関する発明です。請求項1がシンプルにまとめられていると思います。

 運転者の覚醒度を判断するという目的の発明は、けっこう多いと思うのですが、このようなシンプルな記載で特許をとれたのは、よかったと思います。着眼点が良かったのだと思います。すばらしい。