【特許紹介】コミュニティを新規開設か、既存コミュニティに参加かを選択可能とする特許発明(楽天)を紹介

 今回は、SNSなどのインターネットコミュニティの開設に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、ちょうどよい関心度のユーザでコミュニティが形成されるようにしたいという課題があります。

 本発明では、第2のコミュニティを開設する場合に、新規開設か既存コミュニティに参加かを選択可能とします。これにより、ちょうどよい関心度のユーザでコミュニティが形成されるようにすることができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

ちょうどよい関心度のユーザでコミュニティが形成されるようにしたい

 ネットワークを介して情報を交換するコミュニティ(インターネットコミュニティ)があります。SNS(Social Networking Service)もこれに該当します。

 コミュニティにだれでも参加可能であるとすると、コミュニティに投稿される情報の質が低下するおそれがあります。一方、コミュニティに参加できる条件を厳格にしすぎると、コミュニティの参加者が少なくなり、情報交換が活発でなくなるおそれがあります。

 そこで、ちょうどよい関心度のユーザでコミュニティが形成されるようにしたいという課題があります。

第2のコミュニティを開設する場合に、新規開設か既存コミュニティに参加かを選択可能とする


 この発明の装置(投稿権限付与装置)は、ちょうどよい関心度のユーザでコミュニティが形成されるようにすることができます。

 コミュニティというのは、掲示板やチャットような情報交換のための集まりで、明細書では、ラーメン愛好会の例が記載されています。
 
 まず、ユーザの携帯端末の位置情報を取得します。そして、ユーザの携帯端末の位置が、コミュニティの開設者が指定した領域に含まれている場合には、コミュニティに投稿する権限を付与します。

 次に、ユーザが、上記とは別のコミュニティ(第2コミュニティ)を開設する場合に、その第2コミュニティに紐づけられた領域(第2領域)と、上記コミュニティの領域とが重複する場合には、コミュニティを開設するか、または、コミュニティに参加するかの選択肢を画面に表示します。

 そして、開設または参加の情報を受け付け、開設の場合には、コミュニティの開設の処理を行い、参加の場合には、ユーザに投稿する権限を付与します。

 このようにすることで、開設しようとするコミュニティの対象が、既存のコミュニティと同一または類似である場合に、コミュニティを開設するか、既存のコミュニティに参加することでコミュニティの重複を抑制するかを選択できるようになり、ちょうどよい関心度のユーザでコミュニティが形成されるようにすることに寄与します。

 特許第6914307号 楽天グループ株式会社
 出願日:2019年10月16日 登録日:2021年7月15日

【課題】
コミュニティで情報交換される対象への関心度が或る程度以上に高いユーザでそのコミュニティが形成されるようにすることを可能とする
【請求項1】
ネットワークを介して情報の投稿及び投稿された情報の受信が可能なコミュニティの開設を要求する開設者により指定された領域を示す領域情報を取得する領域情報取得手段と、
前記取得された領域情報と、前記コミュニティを識別するコミュニティ識別情報と、を関連付けて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記開設者と異なるユーザが利用する携帯端末装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記取得された位置情報により示される前記位置が、前記記憶された領域情報により示される前記領域に含まれる場合、前記領域情報と関連付けて記憶された前記コミュニティ識別情報により識別される前記コミュニティへ情報を投稿する権限であって、前記携帯端末装置が前記領域内に位置しているか否かに関わらず投稿可能な権限を、前記ユーザに付与する処理を実行する付与手段と、
前記領域情報と前記コミュニティ識別情報とが関連付けて記憶された後に、前記ユーザが第2コミュニティの開設を要求する場合、前記ユーザにより指定された第2領域を示す第2領域情報を取得する第2領域情報取得手段と
前記取得された第2領域情報により示される前記第2領域と、前記記憶された領域情報により示される前記領域と、が重複する場合、前記第2コミュニティの開設と、前記コミュニティへの参加と、を含む選択肢の中から何れかを選択するための画面を、前記携帯端
末装置に表示させる画面表示制御手段と、
前記携帯端末装置に表示された前記画面における前記ユーザの選択を示す選択情報を取得する選択情報取得手段と、
を備え、
前記取得された選択情報が、前記第2コミュニティの開設を示す場合、前記記憶制御手段は、前記取得された第2領域情報と、前記第2コミュニティを識別する第2コミュニティ識別情報と、を関連付けて前記記憶手段に記憶させ、
前記取得された選択情報が、前記コミュニティへの参加を示す場合、前記付与手段は、前記取得された位置情報により示される前記位置が、前記記憶された領域情報により示される前記領域に含まれることに応じて、前記コミュニティへ情報を投稿する前記権限を付与する処理を実行することを特徴とする投稿権限付与装置。

今日のみどころ

 SNSなどのコミュニティの開設に関する特許で、新規開設をするか既存のコミュニティに参加するかを選択できるようにすることがポイントです。

 請求項1が結構長いですが、余計な限定がある感じはなく、記載を明確にした結果、長くなってしまった感じがします。請求項1が結構長いと、読む気がなくなってしまう人もいると思いますが、ちょっと頑張って読んでみると面白いと思います。意外と、難しくないです。

 明確に記載されている分、権利化後に無効にされたり、侵害訴訟で104条の3の抗弁がなされるリスクは小さいと思いますね。