【特許紹介】運転者の顔と身体の挙動を重みづけして考慮して状態推定する特許発明(オムロン)を紹介

 今回は、自動車の運転者の状態推定に関するを紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、運転者の顔の挙動からの状態推定は適切でないことがある問題があります。

 本発明では、運転者の顔と身体の挙動を重みづけして考慮して状態推定します。これにより、運転者の状態を適切に推定することができます。



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運転者の顔の挙動からの状態推定は適切でないことがある問題

 自動車を運転する運転者を車載カメラなどで撮影し、居眠り、わき見運転、体調急変などを推定する技術があります。このような技術では、従来、運転者の顔の挙動、つまり、顔の向きや目の開閉に基づいて運転者の状態を推定していました。

 その場合、運転者の正常な動作である左右確認をわき見運転と推定してしまったり、運転中に前方を見ながら飲食することを正常と推定してしまったりすることがありました。

 このように、従来、運転者の状態を適切に推定することができないことがあるという問題があります。

運転者の顔と身体の挙動を重みづけして考慮して状態推定


 この発明の装置(状態推定装置)は、運転者の状態を適切に推定することができます。

 まず、撮像装置(カメラ)によって、対象者である運転者を撮影して画像を生成します。

 生成した画像から運転者の顔の挙動を解析します。また、生成した画像から身体の動作を解析します。

 そして、顔の挙動の特徴を示す情報と、身体の挙動の特徴を示す情報とのそれぞれに重みを設定し、設定した重みで各特徴を考慮して、運転者の状態を推定します。

 重みに設定方法は、あまり限定されておらず、例えば、過去の推定結果に基づいて設定されるという記載があります(明細書の段落[0050])。

 このようにすることで、運転者の顔だけでなく、運転者の顔と身体の状態を適切に考慮して、運転者の状態を推定することができます。

 特許第6245398号 オムロン株式会社
 出願日:2019年12月2日 登録日:2020年12月21日

【課題】
対象者の取り得る多様な状態を適切に推定可能な技術を提供する。
【請求項1】
 所定の場所に存在し得る対象者を撮影するように配置された撮影装置から撮影画像を取得する画像取得部と、
 前記撮影画像に基づいて前記対象者の顔の挙動を解析し、前記対象者の顔の挙動に関する第1情報を取得する第1解析部と、
 前記撮影画像に基づいて前記対象者の身体動作を解析し、前記対象者の身体動作に関する第2情報を取得する第2解析部と、
 前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記対象者の状態を推定する推定部と、を備え、
 前記第1情報及び前記第2情報はそれぞれ1又は複数の特徴量で表現され、
 前記推定に対する前記各特徴量の優先度合いを定める重みを前記各特徴量に設定する重み設定部を更に備え、
 前記推定部は、前記重みが適用された前記各特徴量から求められた値に基づいて、前記対象者の状態を推定する、
状態推定装置。

今日のみどころ

 車両の運転者の状態を推定する技術で、世の中的にも重要な技術になってきていると思います。

 ポイントは単純で、運転者の状態の推定を、従来は顔の挙動だけから行っていたのに対して、本特許では、顔と身体の挙動とを重みづけしてかけ合わせた情報から行っているということです。

 シンプルですが、シンプルなだけに価値が高そうな特許ですね。