今回は、自動車の運転手に情報を伝える対話システムに関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、運転者との対話のタイミングが良くないと運転操作ミス等の可能性がある問題があります。
この発明では、運転者の余裕がないときにエージェント同士の対話によって伝えます。これにより、運転者の運転操作ミスなどの可能性を減らせます。
運転者との対話のタイミングが良くないと運転操作ミス等の可能性がある問題
自動車に搭載されて、運転者(ドライバー)に発話したり、運転者と対話したりする対話システムがあります。
運転者は、さまざまな状態で、運転操作のミスがないように、また、集中力を維持しながら、自動車を運転しています。
このような対話システムによって運転者に発話した場合、タイミングが良くないと、運転者の運転操作ミスや集中力の低下を招く可能性があるという問題があります。
運転者の余裕がないときにエージェント同士の対話によって伝える
この発明の対話システムは、2つのエージェントを対話させることで運転者に情報を提供します。
運転者に報知すべき情報があるときには、運転者の「余裕度」という指標を算出します。余裕度は、運転者の余裕の度合いを示す指標だと思われます。
また、対話システムは、報知する情報に対応して定められている判定値を算出します。判定値は、余裕度と大小比較される基準値のようなものです。
そして、判定値が余裕度より小さい場合、報知情報を直接に運転者に報知します。これは、運転者が余裕がある状態にある場合です。
一方、判定値が余裕度以上である場合、報知情報を、2つのエージェント同士の対話によって運転者に伝えます。
このようにすることで、運転者に余裕があるときとないときとで報知の仕方を変更し、情報を適切に運転者に伝えることができます。
特許第6708273号 スズキ株式会社
出願日:2019年2月8日 登録日:2020年5月25日
ドライバーの運転操作のミスや集中力の低下を招くことなくドライバーに情報を提供することができる車両用対話装置を提供する。
【請求項1】
第1エージェントと第2エージェントとを互いに対話させることにより車両のドライバーに情報を提供する自動対話制御を実行する車両用対話装置であって、
前記自動対話制御を実行中に、前記ドライバーに報知すべき報知情報があると判定した場合、前記ドライバーの余裕度と、前記報知情報に対応した判定値とを比較した結果に基づいて前記報知情報を報知するか否かを決定する制御部を備え、
前記制御部は、前記判定値が前記余裕度より小さい場合は、前記報知情報を直接前記ドライバーに報知し、
前記判定値が前記余裕度以上の場合は、前記自動対話制御を継続し、前記第1エージェントと前記第2エージェント同士で対話させることで間接的に前記ドライバーに情報を伝える車両用対話装置。
今日のみどころ
運転者に情報を伝えるときに、直接に運転者に伝えるモードと、エージェント同士が対話しているのを運転者に聞かせる感じで伝えるモードとをうまく使い分けるという発明です。
発明の前提である、エージェント同士が対話するという形態が珍しい感じがするので、そのうえでの発明も特許になりやすいと思います。