【特許紹介】複数の通信機器の動作順を簡易な構成で適切に制御できる特許発明(ベイビッグ)を紹介

 今回は、通信機器の動作順の制御に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、複数の通信機器の動作順を簡易な構成で適切に制御することができない問題があります。

 本発明では、各機器が送信する優先度を受信し、自機器の優先度が最高なら送信するように制御します。これにより、各機器の動作順を簡易な構成で適切に制御することができます。



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複数の通信機器の動作順を簡易な構成で適切に制御することができない問題

 不特定多数の機器が含まれるシステムがあります。機器の例は、無線通信端末などです。

 不特定多数の無線通信端末を含むシステムで、電波を用いて端末間の距離を検知する場合、各機器の動作順を適切に制御する必要があります。

 しかしながら、各機器の動作順を簡易な構成で適切に制御することができないという問題があります。

各機器が送信する優先度を受信し、自機器の優先度が最高なら送信する


 この発明のシステムは、各機器の動作順を簡易な構成で適切に制御することができます。

 システムは、2種類の機器(第1機器と第2機器)を備えています。第1機器の例は、工事現場の重機等に搭載される通信機器であり、第2機器の例は、作業員に所持される通信機器です。

 まず、第2機器が検知用信号(電波)を送信し、送信された検知用信号を第1機器が受信します。

 検知用信号を受信した第1機器は、その検知用信号を送信した第2機器に指示信号を送信するための動作(送信動作)を蓄積します。

 複数の送信動作には、優先度が設定されています。優先度の例は、受信時刻(受信時刻が早いほど高優先)、受信電波強度(受信電波強度が高いほど高優先)などです。

 そして、複数の送信動作が蓄積された場合、複数の送信動作のうち最も高い優先度を示す通知信号を他の第1機器に送信します。このとき、同じように他の第1機器が送信してくる通知信号を受信します。

 そして、自装置が送信した通知信号の優先度が、他の第1機器が送信してくる通知信号の優先度よりも高い場合に、その指示信号を送信します。

 このようにすることで、各機器の通知信号の送受信だけで(言い換えれば、他の管理装置などによるとりまとめなどを使わずに)、各機器の動作順を適切に制御することができます。

 特許第6864798号 株式会社ベイビッグ
 出願日:2020年10月9日 登録日:2021年4月7日

【課題】
複数の機器の動作順を簡易な構成で適切に制御できる制御システム及び制御方法を提供する。
【請求項1】
 複数の第1機器と、複数の第2機器とを含む制御システムであって、
 前記複数の第2機器の各々は、検知用信号を無線送信し、
 前記複数の第1機器の各々は、
  前記検知用信号を受信した場合、受信した前記検知用信号の送信元の第2機器への指示信号の送信動作を蓄積し、
  自機器に蓄積される複数の送信動作のうち、優先度が最も高い第1の送信動作の第1の優先度を示す情報を含む第1の通知信号を、他の第1機器に送信し、
  前記他の第1機器から送信された、前記他の第1機器に蓄積される複数の送信動作のうち、優先度が最も高い第2の送信動作の第2の優先度を示す情報を含む第2の通知信号を受信し、
  前記第1の優先度が前記第2 の優先度より高い場合、前記第1の送信動作を行う
 制御システム。

今日のみどころ

 複数の通信端末間の動作の制御を、その端末間の簡単な情報送信だけで実現する発明です。シンプルでよいと思います。

 請求項の記載が、短くすっきりまとめられていてよいと思います。必要なことだけが明確に書かれていて、不要な限定がないです。慣れないと読みにくい部分もあるかもしれませんが、わかりやすいです。勉強になります。

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