特許公報は読みにくいと言われることが多いです。でも、企業や大学の研究者や技術開発者にとって特許公報を読むことで得られるメリットは大きいです。
特許公報を読むことで得られるメリットについて以下で説明します。
新しい技術開発をするにはまず情報収集
企業や大学での研究や技術開発は、既存技術を知ることから始まります。自分で一から一生懸命考えて技術アイデアを積み重ねても、既に他人が開発したものであることが多いからです。既に誰かが開発したものをあとからなぞって開発しても、新しい技術開発とはいえません。
それよりも、現段階の既存の技術を学び、それを改良することを考えるのが効率のよい近道です。
情報収集には、さまざまな情報源を使うのが良いです。企業や大学の研究者や開発者なら、自分より詳しい人から教えてもらいつつ、足りない情報を自分で補うと効率がよいですよね。
最近の新しい技術を仕入れる方法
新しめの技術の情報収集は、例えば、最近3年~5年程度の既存技術を押さえておけばよいと思います。これくらいあれば、現時点での技術が、何段階かの改良を重ねた結果であったり、あまり研究されていない技術であったり、という動向がわかります。
このような情報収集をする方法は、人から教えてもらう以外に、例えば以下の方法があります。
- Web上の情報の検索
- 展示会や学会への出席
- 書籍の入手
Web上の情報はタダで手軽に入手できる利点があります。展示会や学会では実際の物を見たり、人から説明を受けたりすることができる利点があります。書籍は、ある技術範囲が系統立ててまとめられている利点があります。
私は、これらに加えて、特許公報を活用することをご提案します。
特許公報を活用して技術の勉強を
企業や大学では、技術を開発するのと同時に、その技術を特許で守ることが行われます。特許をとるには、特許庁の審査で特許査定を得る必要があります。特許をとらないといけない状況になって初めて、特許について考え始めてもうまく権利化できない可能性が高いです。
そこで、日ごろから特許公報を読んで特許公報に慣れておくことが大切です。特許公報から技術情報を得ることももちろんできます。特許公報はタダで入手でき、ある技術範囲の解説書とみることができます。
特許公報(*1)は、技術の理解のために必要な項目を過不足なく含んでいます。解決すべき課題と、その解決方法が短い言葉でまとめられた部分がある一方、その解決方法によって課題がどのように解決されるのかについての詳細な説明もあります。
また、特許公報を読むことで、他人がどのような発明を権利化しているかを知ると同時に、その発明の技術を勉強できます。似た分野の特許公報を読めば、自身が特許をとるときの書類の書き方の参考にもなります。
特許公報の読み方のコツを知って読む
特許公報を活用して技術の勉強をすることには、このようにとても大きなメリットがあります。ただ、特許公報は、少々読みにくい部分を含んでいるのも事実。そこで、読み方のコツを知って上手に読むことが必要です。
週一で特許公報を紹介している当サイト「通信特許マニア」を購読すれば、日ごろから特許公報に触れるきっかけを得ることができ、読み方のコツを体得する助けになります。Web上の情報を収集するときに、ついでに当サイト「通信特許マニア」にも訪れてください。
*1 特許公報は、特許庁の審査の結果、特許査定がなされたものについて発行される公報です。特許公報に似たものとして特許公開公報がありますが大きな違いがあります。特許公報と特許公開公報との違いなどは別の機会に説明します。
今日のみどころ
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