ノイズの放射を抑えながら送信信号を同期する可視光通信用照明の発明 パナソニック

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 複数の照明器具により可視光通信信号を含む光(以降「可視光通信光」)を照射するシステムに関する発明です。この照明器具は、照明器具本体の外部に設けられた信号出力部からの信号をフォトカプラを介して受信して、この受信した信号に基づいて可視光通信光を送信します。
 これにより、周辺に放射するノイズを抑えながら、複数の照明器具が照射する可視光通信信号の混信を回避できます。

特許第5842100号(特開2013-110599) パナソニックIPマネジメント株式会社
出願日:2011年11月21日 登録日:2015年11月27日



 ※特許の本の紹介。
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複数の照明器具それぞれが同期しないと可視光通信光が混信する問題

 可視光通信では、受信装置は、受信する光の強弱のパターンによって信号を受信します。そのため、複数の照明器具を有する可視光通信システムにおいて、複数の照明器具それぞれが可視光通信光を送信する場合には、複数の照明器具それぞれが同期して光を送信する必要があります。もし同期がとれていないと、他の照明器具が送信する光と混ざり合って、受信する光の強弱が乱れ、信号が混信してしまう問題があります。
 この同期のために各照明器具を結ぶ電線に変調信号を流すシステムが従来ありますが、この変調信号が周辺にノイズを放射する問題があります。

フォトカプラのLEDを駆動する信号を流す信号線により照明器具と接続

 そこで、この発明の可視光通信システムでは、各照明器具が信号線で結ばれ、外部の信号出力部からの信号がこの信号線に流されます。
 各照明器具は、フォトカプラを介して外部の信号出力部からの信号を受信します。信号線に流れる信号は、フォトカプラのLEDを駆動するための微小な電流を流すだけなので、外部にノイズを放射することが抑制されます。
 これにより、周辺へのノイズの放射を抑制しながら各照明器具が同期して可視光通信光を照射することができます。

【課題】
 照明光に重畳される変調信号の伝送において、放射ノイズの発生を抑制して通信信号を正確に伝送することができ、変調信号の伝送箇所における絶縁性の確保が容易な可視光通信用照明器具及び同器具を用いた可視光通信システムを提供する。
【請求項1】
 照明光の光強度を変調して通信信号を重畳させる可視光通信用照明器具であって、
 固体発光素子から成る光源部を有する照明器具本体と、前記光源部が出射する照明光に通信信号を重畳するための変調信号を出力する可視光通信信号出力部と、を備え、
 前記照明器具本体は、調光信号に基づいて前記光源部に流れる負荷電流を制御して前記光源部を調光する電源回路部と、前記電源回路部から前記光源部へ供給される出力電流を変調させるスイッチ要素と、前記スイッチ要素と並列に接続されたインピーダンス要素と、前記可視光通信信号出力部から出力された変調信号を受信するフォトカプラと、を備え、
 前記可視光通信信号出力部は、前記照明器具本体の外部に設けられ、前記フォトカプラを介して前記変調信号を伝送することを特徴とする可視光通信用照明器具。

今日のみどころ

 複数の照明器具を有する可視光通信システムでの同期の課題を、フォトカプラを介して同一の信号を受信することで解決しています。複数の照明器具の制御における課題を解決する構成としてフォトカプラを用いる構成が新規と言えると思います。
 新規な課題とその解決方法を探し出すことで発明のストーリをまとめ、あとは上手な説明を加えることで特許の取得につなげることができると思います。