【特許紹介】車両が指定領域に入っている場合に信号を送信することで電波法違反を回避する特許発明(パナソニック)を紹介

 今回は、車両の通信に関するを紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、他の国で車両が電波を送信すると電波法に違反してしまう問題があります。

 この発明の車両は、車両が指定領域の範囲に入っている場合に位置情報を送信します。これにより、電波法に違反して無線通信をしてしまうことを回避できます。



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他の国で車両が電波を送信すると電波法に違反してしまう問題

 車両同士の無線通信、または、車両と路側機とが無線通信をするシステムがあります。無線通信は、電波によって行われます。

 電波の使用は、国ごとのに、電波法によって定められています。

 そのため、例えば日本向けの端末装置が搭載された車両が、他の国で電波を送信すると、その国の電波法に違反することになってしまうという問題があります。

車両が指定領域の範囲に入っている場合に位置情報を送信


 この発明の車両は、車両の起動時に信号を送信してよいか否かを判定して、電波法に違反して無線通信をしてしまうことを回避できます。

 具体的には、車両は、GNSS(GPSなど)で車両の位置情報を取得して、取得した位置情報を他の車両に無線通信で送信することができます。

 また、車両は、国家の単位の指定領域の緯度経度の範囲を保持しています。

 車両が位置情報を他の車両に送信する際、車両は、車両の位置情報が、指定領域の緯度経度の範囲に含まれているかどうかを判断し、含まれている場合に、位置情報を他の車両に送信します。

 これにより、車両が指定領域(国家の単位)内にあるときだけ、車両の位置情報を無線通信で送信するようにすることができ、電波法に違反して無線通信をしてしまうことを回避できます。

 特許第6688999号 パナソニックIPマネジメント株式会社
 出願日:2017年8月30日 登録日:2020年2月2日

【課題】
車両が起動する場合に信号を送信してよいかを判定する技術を提供する。
【請求項1】
 GNSS受信部と、
 無線通信部と、
 記憶部と、を備える車両であって、
 前記GNSS受信部は、前記車両の位置を取得可能であり、
 前記無線通信部は、少なくとも前記車両の前記位置を他の車両へ送信可能であり、
 前記記憶部は、指定領域の緯度経度の範囲を保持し、
 前記車両の前記位置が前記指定領域の前記緯度経度の前記範囲に含まれる場合、前記無線通信部は、前記車両の前記位置を他の車両へ送信し、
  前記車両の前記位置が前記指定領域の前記緯度経度の前記範囲に含まれない場合、前記無線通信部は、前記車両の前記位置を他の車両へ送信しない、
 前記指定領域は、少なくとも国家の単位である、
 車両。

今日のみどころ

 車両の位置情報が指定領域に入っていない場合に、車両の位置情報を送信することを禁止する発明です。

 位置情報が指定領域に含まれているかどうかを判断して、車両の位置情報を送信するかどうかを制御するというアイデアで、かなりシンプルです。これで特許をとれるのが少し不思議なくらいです。

 特許にするポイントの抽出が上手だったんでしょう!すばらしい。