コロナ禍においてリモートワークをできるようにした職場も多いと思います。リモートワークを始めてから1年以上経過して、業務への影響も見えてきた時期かもしれません。
私が勤務している事務所でも、希望する人はリモートワークができるようになりました。
私は、当初、テレワークのためのシステムを導入する側の仕事をしつつ、システムが動き出してからは積極的にテレワークを利用しています。また、私の事務所には、私の他にもテレワークを利用している人が多くいるので、事務所に勤務する側の立場も経験しています。
事務所に勤務する人の中では、リモートワークって仕事してないんじゃない?とか、さぼってるんじゃない?というような感じで、あまり良く思っていない人がいるのも分かってきています。
そこで、世の中的にはどうなのかなと思い、リモートワークについて書かれている本を数冊まとめて読んだところ、リモートワークについておさえるべきポイントが分かった気がします。
この記事では、リモートワークについての書籍を紹介しながら、リモートワークとどのように付き合っていけばいいかについてシェアします。
リモートワークについて悩みがあるという人の助けになればと思います。
この記事で紹介する書籍は以下です。特におすすめする本をあとで紹介します。
- 職場の科学
- リモートワーク 段取り仕事術
- テレワークをはじめよう
- あなたのいるところが仕事場になる
- これからのテレワーク
急いでリモートワークの環境を整えた
新型コロナウィルスの流行前から、「働き方改革」などの名目でリモートワークに移行する流れはあったと思うのですが、リモートワークを実際に取り入れる会社は、どちらかというと先進的な会社が多かったと思います。
そんな中、新型コロナウィルスが広まり、急いでリモートワークをできるようにした職場も多いと思います。十分な通信インフラやクラウドで提供されるアプリケーションなどが普及していたことが功を奏したと思います。
リモートワークをしていなかったときと、リモートワークを始めてからとで比較するといろいろな面でメリットとデメリットがあると思います。
実際にやってみる前から予想できていたこともあれば、実際にやってみてわかった、実感したこともあると思います。
リモートワークの影響
例えば、仕事に集中できるので生産性が上がった、仕事をしやすくなったということもあると思います。一方、電話、テレビ電話、テレビ会議などによる意思疎通だけでは仕事がしにくいので、生産性が下がったということもあると思います。
通勤電車に乗らなくてよくなったことで通勤時間を削減したり、ストレスがなくなった人も多いと思います。一方、家から出ない日が多くなり運動不足になる人も。
一方、実際に会いたくない人に会わないで済むためにストレスが小さくなったということもよく聞きます。仕事以外の話をする機会が減ってしまって、悩みが大きくなったり、精神的に不安定になってしまったりすることもあるようです。
意向では、テレワークについて書かれた比較的新しい本を紹介しながら、テレワークの影響や、上手にテレワークを取り入れていく方法を紹介します。
「職場の科学」
働き方の先進企業である日本マイクロソフトの取り組みを紹介しながら、新しい働き方について紹介する本です。主に、会社の制度、マネジメントや従業員の働き方について着目しています。
日本マイクロソフトではコロナ禍の前からリモートワークが積極的に利用されていました。もともと、さまざまな働き方が、生産性向上の選択肢として認められていて、リモートワークもその1つであったようです(P.22、P.199)。リモートワークとともにペーパーレスも推進されたとのこと(P.41)。
そして、上司も積極的に制度を利用することで、その選択肢をとることを良しとする空気が醸成されます(P.201)。
また、ビジネスのコミュニケーションとしてよく言われる「報・連・相(ほうれんそう、報告、連絡、相談)」より、「雑相(ざっそう)」のコミュニケーションが威力を発揮します(P.26)。雑相というのは、雑談と相談(雑談から発展する相談)、雑な相談(フランクな相談)、の意味です。
これによって、密なコミュニケーションやコラボレーションをしやすい環境を作っていくことができます。
この雑談に関連して、社員全員が総当たりで1対1でランチをするラウンドロビンランチという仕組みで、「雑相」を増やし、相談できる人を増やすことで、話をするハードルを下げています(P.87)。
ポイント
日本マイクロソフトは、提供しているソフトウェアやサービスの利用シーンとして、リモートワークが普及した世の中を想定していると思います。そのような状況を実際に取り入れていることで、他の企業よりも先進してリモートワークなどの新しい働き方を導入することになっているのだと思います。
会社がリモートワークの制度を積極的に利用させる雰囲気を作る工夫をしているのも重要なポイントだと思います。
また、リモートワークになって、仕事以外の話をしにくくなってしまう部分を「雑相」で補っているというバランスがよいと思います。やっぱりコミュニケーションは大事ですからね。
なお、リモートワーク以外の観点でも、日本マイクロソフトのマネジメントの考え方がたくさん紹介されていてとても参考になります。戦隊モノの話とか。情報共有の仕方とか。「塊の時間」とか。気になる人はぜひ。
リモートワーク 段取り仕事術
おもに従業員の側がどのように上手にリモートワークをするかという観点で紹介する本です。
まず、リモートワークをする環境として、適切な机や椅子の用意、整理整頓(P.16)、ネットワーク環境の準備(P.24)について具体的な説明があります。パソコンの関連で、セキュリティや情報漏洩に気を付けるべきという観点でも説明があります(P.216)。
スケジュール管理、コミュニケーション、Web会議についてのマナーや作法について具体的に説明されています(2章~4章)
。
リモートワークにおけるコミュニケーションのところで、雑談について触れられています。雑談を排除するのはNG(P.164)。雑談は、気分をリフレッシュさせるだけでなく、感情面での結びつきを強化するのに適しているというのが理由です(P.165)。
そして、ポジティブな言葉がけを意識することが述べられています(P.206)。ポジティブな情報より、ネガティブな情報のほうが強く記憶に残りやすいから。特に上司から部下への言葉がけでは、意識的にポジティブな声掛けを増やして、部下が最高のパフォーマンスを上げられるようにします(P.209)。
ポイント
リモートワークの仕事環境の整備や、スケジュール管理などについては、ある程度具体的に説明されているので、必要な人に参考になると思います。
リモートワークの環境を整備することについて、どうしてもパソコンやクラウドサービスについて良く知っている人が先走ってしまう傾向があります。苦手な人も最低限の知識を持っておく必要があると思います。
また、従業者同士の雑談について、この本でもその重要性が述べられています。テレワークだと仕事の話はできても、仕事にちょっとかかわる(けど、直接は関係しないような)話をしにくいですが、そんな程度の雑談はむしろ大事にしたらいいです。
あと、ポジティブな言葉がけが大事。本当にそう思います。
テレワークをはじめよう
テレワークをはじめるための基礎知識、成功させるための考え方について紹介する本です。
前半では、テレワークに必要な機材(パソコン、通信回線、ソフトウェア)や、会社の制度面の用意(就業規則の変更、導入計画など)についてポイントにしぼってまとめられています。
実践のポイントとして、コミュニケーションを密にすること(P.22)、報告を欠かさないこと(P.23)、ムダ(雑談)を許容すること(P.25)などが指摘されています。常識的な範囲内での雑談、普段のオフィスでもされている程度の雑談は許容してOKということです。
社員の働き方の面では、心と時間に余裕がうまれること、通勤時間の削減などのメリットがある一方、さぼり癖のあるひとの対策も指摘されています。例えば、真面目に働く人物を優先してテレワークに起用することが挙げられています(P.34)。
後半では、テレビ会議やコミュニケーションに使われるソフトウェアやクラウドサービスの紹介があります。具体的には、Zoom、skype、teams、slackなどです。画面イメージを参照しながら解説されています。
ポイント
実際のテレワークの状況を想像できるくらいに具体的に書かれていると思います。
リモートワークの技術面と制度面の両方をカバーしているので、結構広い範囲をカバーできていると思います。ポイントが凝縮されている感じがあるものの、それぞれのポイントについての記載についてもう少し補足的な説明があるといいなと思うことがありました。
コミュニケーションを密にするとか、雑談を許容するとかいう点は、他の書籍と共通するポイントです。
あなたのいるところが仕事場になる
この本は、新型コロナウィルスの流行前に書かれた本です。直接的には、2020年に予定されていたオリンピックを前にして、オリンピックの時期の混雑を回避する策としてのテレワークについて書かれています。
テレワークのメリットとして、地方での労働力の不足、都会での通勤地獄の解消、ワークライフバランスの向上などが挙げられています。
具体的には、地方での少子高齢化による労働力の不足(P.16)を解消するために、例えば家事や育児の合間の限られた時間だけ仕事をしたいような人が就業することが考えられます。(P.138)
都会の企業も、働き方の選択肢として在宅勤務やサテライトオフィスでのテレワークを実現することで、通勤地獄を回避しながら、仕事、家族、生活、どれもあきらめない働き方を保証することができます(P.143)。
ポイント
新型コロナウィルス流行前に書かれた本ということもあり、なんとなく、落ち着いた印象を受けます。出版されてから少々時間が立っているせいか、言葉に新しさを感じないからかもしれません。
テレワークを先進的な会社が取り入れるもの(どこか他人事のように感じられるもの)という雰囲気があります。確かに、新型コロナウィルス流行前は確かにこんな雰囲気だったことを思い出します。
新型コロナウィルスの流行前の世の中の雰囲気とか、その変化を感じることができるという意味で、価値のある一冊といえると思います。
これからのテレワーク
テレワークをした場合の心理面の影響、ワークライフバランスの考慮などに着目して、テレワークの影響について説明する本です。
テレワークをした場合に通勤時間を削減でき、そのストレスもなくせるメリット(P.16)や、仕事の休み時間に家事をするなど時間を有効活用できるメリット(P.18)が述べられています。
一方、テレワークをしている人が、さぼっていると思われることについての心の持ちようとか(P.32)、テレワークではない人(ノンテレワーカー)への配慮など(P.34)、テレワーカーとノンテレワーカーとの格差をどう埋めるか(P.91)など、心理面で気を付けないといけないこともわかりやすく述べられています。
そして、自分の健康管理についても述べられています。どうしても、運動不足、姿勢の悪化、心の状態などに気を付けて、たまにリセットしながら進めることの重要さが述べられています。
ポイント
テレワークをする人がどう思われているかとか、テレワーカーとノンテレワーカーとの格差や不公平感など、目に見えないけど感じざるを得ない部分、あまり光が当たらない部分に着目して述べられています。
いわゆる「空気」というか、なんというか、あまり表ざたにしたくない部分にスポットを当てている感じがあります。
そういう心理面のことに悩みを感じている人は、この本を読んだら楽になれると思います。救われます。
おまけ:アフターコロナ 見えてきた7つのメガトレンド
もう一つおまけです。
コロナ禍での大きな世の中の変化、その後の姿について、さまざまな分野の人たちの予測がまとめられています。
この中で、「対面が難しいという制約条件は、あらゆる産業に際発明を迫る」(P.011)との言葉が、テレワークを含むいまの状況をうまく表現していると思います。
また、「2年分のDXが2カ月で起きた」という言葉が印象的でした(P.067)。DXというのは、デジタルトランスフォーメーションの略語です。これによって、IT関連企業の業績が急上昇しています。
ポイント
私の間隔では、「2年分のDXが2カ月で起きた」というよりももっと大きな変化だと思います。いままで数年間、保留されていた変化が一気に起きた感じがします。
この大きな変化のなかでも、ストレスを回避しながら仕事しましょう!
まとめ
テレワークについて紹介された書籍5冊+おまけの1冊をざっと紹介しました。
どの本にもほぼ共通して書かれているのが、以下のポイントだと思います。
- テレワークは、生産性の向上のための選択肢として有用
- テレワークを利用する雰囲気&空気づくりも重要
- テレワークは、ワークライフバランスの向上に有効
- テレワークでは、コミュニケーション、雑談が大事
- テレワークしている人の、心理面・身体面での影響のケアが必要
テレワークについてメリットやデメリットなどを考える時には、上記ポイントに頭にいれておけば大丈夫だと思います。
私の独断で、おすすめの本を選んでみます。
リモートワークを含めて先進的なマネジメントについての情報を得たいなら「職場の科学 日本マイクロソフト働き方改革推進チーム×業務改善士が読み解く「成果が上がる働き方」」をお勧めします。
また、テレワークをするときの心理面の壁、悩み、ストレスなぢに注目したい場合には、「これからのテレワーク」をお勧めします。
今日のみどころ
コロナウィルスの流行が仮に落ち着いたとしても、テレワークのメリットを享受できた会社は、いったん始まったテレワークの制度をなくさないと思います。
むしろ、テレワークをとりいれ、許容できる会社は、一定の信用を得ていくことになると思います。
テレワークは、確かに少しやりにくい面があるとは思うのですが、メリットが大きいのが事実。なので、デメリットを解消する工夫を取り入れながら、テレワークを推進していきましょう!