今回は、車両の故障の原因を特定する技術に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、車両の故障を誘発する状態を効率的に特定することができないという問題があります。
この発明では、故障発生前の走行状態の出現頻度から、故障を誘発する状態を特定します。これにより、車両の故障を誘発する状態を効率的に特定することができます。
車両の故障を誘発する状態を効率的に特定することができない問題
車両に故障が発生した場合に、その故障を誘発する状態を特定する装置があります。
従来、故障を誘発する状態を特定する装置が、そのような故障を誘発する状態を特定する具体的な方法が不明でした。
そのため、故障を誘発する状態を効率的に特定することができないという問題があります。
故障発生前の走行状態の出現頻度から、故障を誘発する状態を特定
この発明の装置(車両用故障原因特定装置)は、故障を誘発する走行状態を特定することを目的としています。
まず、所定の故障が発生したときに、その故障の発生前における走行状態を表すデータに基づいてその走行状態の特殊性の有無を判断します。
所定の故障の一例は、車両用変速機の変速不良です。走行状態の例は、変速機の作動油の温度や車速です。
走行状態の特殊性があると判断された場合、別の車両で所定の故障が発生したときの特殊性と同じであるかどうかを判断し、同じであると判断した場合に、その走行状態を、故障を誘発する走行状態として特定します。
特殊性の有無を判断するときには、正常なときにその走行状態が出現する頻度分布と、故障が発生する前のその走行状態が出現する頻度分布との乖離に基づいて、判断します。
このようにして、故障を誘発する走行状態を特定することができます。
特許第6717419号 トヨタ自動車株式会社
出願日:2019年10月11日 登録日:2020年6月15日
車両にて所定の故障が発生したときに、故障誘発走行状態を効率的に特定することができる車両用故障原因特定装置を提供する。
【請求項1】
車両にて故障が発生した際に、前記故障を誘発する走行状態である故障誘発走行状態を特定する車両用故障原因特定装置であって、
所定の故障が発生したときに、前記所定の故障の発生前における所定の走行状態である故障前走行状態を表す故障前データに基づいて前記故障前走行状態の特殊性の有無を判断する特殊性有無判断部と、
前記車両において前記所定の故障が発生したときに前記故障前走行状態の特殊性が有ると判断された場合、且つ、前記車両とは別の他車両において前記所定の故障が発生したときに有ると判断された前記他車両における前記故障前走行状態の特殊性と、前記車両における前記故障前走行状態の特殊性とが同じであると見なせると判断した場合には、前記車両における前記故障前走行状態を前記故障誘発走行状態として特定する故障誘発走行状態特定部と
を、含み、
前記特殊性有無判断部は、前記他車両を含む複数の車両の各々において前記所定の故障の発生時と同じ制御が正常に実行される際の前記所定の走行状態が出現する頻度分布に対して、前記故障前走行状態が出現する頻度分布が乖離しているか否かに基づいて、前記故障前走行状態の特殊性の有無を判断することを特徴とする車両用故障原因特定装置。
今日のみどころ
車両の故障を誘発する原因を特定するのに役立つ発明です。
発明のポイントはシンプルなのですが、技術をあまり限定しないようにするために、請求項の言葉が抽象的になっています。明細書を読んでもなかなか発明のポイントが見えない。明細書の最後の方に、この発明の説明があります。
そのため、ちょっと意味がつかみにくい、読みにくいともいえます。
こういう請求項をさくっと読んで意味をつかめるようになると中級車~上級者ですね。